虐待を受けた人は自分に問いかける。
生きていていいのだろうか?
誰かに必要とされていれば、意味があると。
難しい物語だったけど、楽しんで観られた。
あらすじ① 女装殺人鬼の小林慎司は何者?
(最後まで小林慎司についての説明はなかったので、
人造魔法少女カイニの発案者みきおがどうして小林慎司を崇めていたのかは不明のまま。)
ロングヘアのカツラをかぶり、男性が化粧をしている。
♥
夫婦らしき男女が子どもに暴力をふるっている。
男女は暴力をふるっているのに子どもに暴力のお礼を言わせる。
男女は面白がって、煙草に火をつけ、子どもの皮膚に押しつける。
(その有り様は薬でもやっているのではないかと思うくらい異常だ。)
そして、不衛生極まりない押入れに閉じ込めて、南京錠をした。
そこへ、先程の女装した男性が刃物を持って現れ、男女をめった刺しにして殺す。
女の子は声を出さないようにじっと押入れで耐えた。
鍵は壊された。
男性は女の子の名前を聞いた。
女の子は「まい」と答えた。
男性は「おれはしんじ」と言った。
男性は「私、綺麗?」と尋ね、まいはうなづく。
男性は肯定されて嬉しそうに見えた。
女の子は恐怖で涙が出たが、男性はそれを拭ってあげた。
♥
成長した女の子、まい。
(この場面ではまいとはわからなかった。)
まいは虐待を受けていて、
しんじの来た日の夢を見ていた。
(つまり両親が殺された日のこと)
♥
目覚めるとTVでコスプレ殺人事件のニュースがやっていた。
コスプレ殺人事件の犯人は捕まっておらず、
その犯人は遺体を解体し、変形させていた。
それを動画にあげていた。
犯人は7年前に夫婦を殺害し、駆け付けた警察に射殺された小林慎司の画像をもアップしていた。
小林慎司はまいの両親を殺害した男だ。
それは何を意味するのか。
♥
まいはボクシングの練習をしている。
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可愛いお面を被ったまま、犯人は男性をチェーンソーで殺し、解体し変形させていく。
あらすじ② 女子大生2人 かなとまい 20歳
かなとまいは暇つぶしに合コンを繰り返すような暮らしをしていた。
今日も
男性2人との合コン。
まいはひとりの男性と一緒に帰る。
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コスプレ殺人鬼は指に何かを塗っている。(意味不明)
合コンの男性は暗がりの公園でまいに襲いかかるが、
まいはやり返し逃げて帰る。
♥
それをコスプレ殺人鬼に見られていた。
合コンの男性は後でぶっとばされて拉致されてしまう。
殺人鬼はまいの素性を知りたがり、拉致した合コン男性に聞く。
アラームが鳴り、
殺人鬼は合コン男にビニール袋をかぶせて窒息死させる。
殺人鬼は
人造魔法少女カイニの映像にほおずりし、ダンスした。
♥
シャワーを浴びたまいは怪我の手当をし、
(合コン男に襲われた同日の夜だと思われる。)
コスプレ殺人について検索している。
♥
まいの性癖
援助交際の相手にカツラをかぶせてから抱き合う。
自分が必要とされると嫌と言えないような感じがする。
♥
殺人鬼は切り取った指の指紋で合コンの男性のスマホを開き、
まいの情報を得た。
♥
殺人鬼は素顔で
まいのいるバーに行き、声をかける。
男は「まえだみきお」と名のった。
ミッキーは芸術家で親はいない。
まいは親がいないことに興味をもった。
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人造魔法少女カイニの作者が自分の出ている番組を見ている。
そこへみきおがやってきた。
どうやら、カイニの発案はみきおだ。
新しいカイニのアイディアを持ってきたらしい。
コスプレ殺人事件の犯人を想像した案もある。
歴史に自分の名前を刻みたい。
腐ったこの世界から彼女達の住む世界に行く方法を考えた。
歴史に名を遺した殺人鬼は転生して彼女達の世界に行ったとも考えられる。
どんな環境で生まれたかですべてが決まる。
それに耐えきれない人間からどうしようもない事件が起きる。
殺したくない彼女が現れたら、
彼は意味がなくなるという。
漫画家はみきおと話しながら、その彼女と出会ったのがその意味ではないのか?
とみきおに問うた。
あらすじ③ 吉祥寺でまいとデート
吉祥寺で待ち合わせて、まいとみきおはデートする。
まいは幼い女の子を連れた夫婦を見て、自分が虐待されたことを思い出していた。
みきおを連れ出して、カラオケボックスで化粧を施した。
まいはみきおの部屋に行った。
そして、人造魔法少女カイニのメンバーのひとりが、
女装殺人鬼のしんじがモデルになっていることを知った。
カイニらは自分らが交換可能な量産されたものだと気づいて、
みんなでチカラを合わせて人間と戦おうとする。
人間は新型人造人間を作り対抗する。
まいはカイニのアニメを見た。
まいはかなにデートの報告をした。
あらすじ④ 現代評論家 奥寺のマネージャー
マネジャーは現代評論家の奥寺にむちゃぶりされても必死に耐え、土下座までする。
奥寺はひどいパワハラをする人だ。
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マネジャーもみきおの仲間のようだ。
コスプレ殺人事件の仲間6人の男性のズーム会議。
★
かながやってきたことで、みきおは抜けた。
かなはまいを貶める発言を連発する。
まいは父親から性的虐待を受けていて、
乱暴なシチュエーションでないと燃えないという性癖を話した。
しかも嘘か本当か妊娠しない身体だと言った。
かなは言いにくそうな感じなのだが、実に楽しそうだ。
みきおはかなを挑発した。
かなは
自殺しない程度にまいを傷つけたい気持ちがあることを話す。
かなは自分より下の人間といると気分がいいと、
調子にのって、話続ける。
両親に虐待されたまいを
すぐに逃げないなんてと馬鹿にしていた。
(ここまでの話でかなは合コンの男性にもあらかじめこういう話をふっていたとバレる。)
★
みきおはアニメコスプレのお面をかぶり、かなを殺す。
あらすじ⑤ まい、援助交際おじさんにパンツを渡す
まいは公園のトイレではいていたパンツを脱ぎ、おじさんに渡す。
テレビの中の奥寺は調子にのって、コスプレ殺人はアニメの見過ぎだとコメントしていた。
まいは
かなのお葬式で衰弱していた。
みきおの部屋へ行き、
自分の両親は女装殺人鬼にやられたと告白した。
みきおは親が死んで嬉しかったと言った。
私が会いたい人もこの世にいない。
それは女装殺人鬼だ。
まいは自分の身体を見せる。
煙草を押しつけられた跡が腕にたくさんあった。
まいは自分の傷跡に新たにみきおから傷を付けてもらった。
傷の上塗りをしたことで、生まれ変わった気持ちだ。
みきおもまいに自分の身体に傷をつけてもらった。
あらすじ⑥ みきおの決戦日
やっとこの日がやってきた。
みきおの仲間は結集し、
評論家の奥寺その他を殺す。
姿は魔法少女カイニのグループのコスプレだ。
★
みきおはまいを現場に呼び出した。
みきおは仲間から刺された。
(ここら辺の詳しい事情はわからなかった。
仲間のひとりが、みきおのバッグからポラロイド写真のファイルを出していたから、そこら辺が関係しているかもしれないし、
バッグから武器が出てきたとも言っているので、それで自分らも殺されると思ったのかもしれない。)
みきおは倒れていたが、
立ち上がって、
反逆する。
電動チェーンソーはやはり強い。
★
仲間を全員殺殺すと
まいが見ていたらしい。
みきおは
これが俺だ。
こっちの世界(多分現実の世界のこと?)はこんなんばっかりだ。
みきおも親に虐待されていたのだ。
それが原因でこっちの世界に馴染めなかったし、
まいみたいに殺人鬼が来なかったから、
自分で親を殺したと言っていた。
あいつらにどうして俺を作ったのか聞いておけばよかった。
あいつらの都合で作られて、
一生消えない傷をつけられて、
それを隠すために必死に仮面を作って、
ひとりで死んでいくんだ。
ただ存在している意味が欲しかった。
今まで誰もくれなかったから。
これが俺の傷だ。
まいには見せたかった。
かたちがないものだから。
みきおにとっては生きていくのは大変だったのだろう。
まいは生きている意味を教えてくれた。
もう行かなきゃとみきおは出て行ったが
階段で息絶えていた。
まいは静かに
横に添い寝した。
手にはみきおがつけてくれたバンドエイドがあった。
感想
パラレルという単語の意味は平行または並列であるさま。
みきおは死ぬその瞬間にまいに自分を肯定されて幸せに死んでいったと思う。
まいもそうだ。
みきおの傷というのは何だったのか。
殺人を犯すというのが傷?だったのか。
かたちにできないものだから
まいを呼んで見せたかったということからそうなのかもしれない。
人を殺すという行動で、自分自身の存在意義を作っていたのだろうか。
ただタイトルがパラレルだから、
今後のまいは生まれ変わっていて、普通に暮らせるかというとそうでもないと思う。
みきおは死んだし。
一緒に連れていってあげた方が良かったのではないかと思った。
お読みいただきありがとうございました。