最初から最後までアンソニーの回想だとしたら、合点がいく。
そう考えないと整理できない。
娘アンの苦悩が痛いほどわかる。
父親への愛が溢れていた。
認知症の父親アンソニーの視点から、
物語ができている。
と思う。
なので
何が真実か
嘘か
これは現実か
妄想か
朝なのか
夜なのか
今居る場所はどこなのか
混乱してわからなくなる。
途中
映画を観ている私は
アンの顔がわからなくなった、つまりこれこそが認知症の方の見え方なんだ!と腑に落ちた。
恐ろしい映画だ。
(私の解釈は間違っていることもあります。)
あらすじ① アンソニーのフラット/アンジェラ(介護人)を首にする
娘のアンがアンソニーのフラットを訪れて面倒をみている。
アンとアンソニーの家は近い。
ドアを入って右側にはコートかけと棚と座面が青い椅子、
左側に大きな時時計、棚に傘のついた灯り。
アンソニーは書斎で音楽鑑賞。
アンソニーは
アンジェラ(介護人)を首にしたらしい。
介護人を身体的にいじめたらしい。
アンジェラが時計を盗んだ、彼女を盗っ人と言う。
アンソニーは時計を出しっぱなしにして試したと言っていた。
苦労して雇った介護人に辞められてしまい、アンは途方に暮れる。
暖炉の上に絵が飾ってある。
腕時計はあった。
アンソニーは
自分が
間一髪隠したから盗まれなかったと言い訳をする。
アンに妹のことを尋ねる。
アンは妹のことは触れず、
言いにくそうにパリに行くことを話す。
そして今のように毎日は来れないと話す。
アンソニーは
アンの以前の夫ジェームズの話をした。
アンソニーは自分を見捨てるんだと言った。
アンは介護人を拒むのなら他にも考えなければならないと伝えた。
アンソニーは帰っていくアンを窓から見ていた。
AVARONという店がある。
(アンソニーのフラットの画像が流れる。)
オペラを聞きながらアンソニーは食料品の整理をする。
あらすじ② アンソニーのフラット/アンソニーの回想?
ガタンと音がしたので、アンソニーはアンを呼ぶ。
男が居間にいた。
アンソニーは誰だと聞き、
男はポールと名のった。
アンの夫で10年はたっていると言った。
ポールはアンに電話し、アンソニーの具合が悪いから早く戻ってくれと言っていた。
アンはパリに行くと言っていたと伝えた。
アンソニーはひとりでしゃべりまくる。
ポールはここはアンソニーのフラットではない、僕たちのフラットだと言う。
(でも暖炉の上には絵があるし、玄関もアンソニーのフラットの家具だ)
アンが戻るがアンソニーはアンだと認識できない。
(違う俳優さんだ)
アンだと名のる女性に今あったことを説明する。
アンソニーは
アンが夫のジェームズにチキンを渡したことを訴えるが
アンはそんな人は居なかったし、
離婚してもう5年もたっていると言っていた。
(妄想なのか。この場所はアンソニーのフラットではなくもうアンのフラットなのか。)
アンソニーは混乱したみたいだ。
アンソニーは寝室に戻って窓の外を見る。
AVARONがある。いつもと同じだ。
あらすじ アンのフラット/アンソニーはローラ(介護人)を受け入れる
アンはアンソニーが自分をアンだと認識できなかった、
ショックだったと電話で話していた。
(誰と話しているのだろう。サライ先生か夫のポール?)
玄関ドアは入って右側にコート掛けがあり、棚には白い鳥の置物があり、椅子にはベージュのクッション。
左側には傘立て、何かの絵、棚の上には青いキラキラした置物。
新しい介護人ローラが訪れる。
アンソニーはローラを娘のルーシーに似ていると気にいったらしい。
上機嫌でアペリティフの時間だと言い、腕時計をしてないことに気づき、取りに戻った。
ローラにウイスキーをすすめ、
暖炉の上にあるルーシーの絵(ピルエット)を褒めた。
アンはそちらを一瞥した。
(もしかしたら、絵はないのかもしれない)
それからアンソニーはひとりで話し続ける。
アンを攻撃する話し方だ。
娘のアンはこのフラットを狙っていて、私がひとりで暮らせないと思い込ませている。
だから私はアンより長生きして娘の財産を相続してやる。
ローラはよくあることだとアンを慰めた。
あらすじ アンのフラット/アンの苦悩
アンは考え事をしながら飲み物を飲み、カップを落としてしまう。
涙が出てきた。
アンソニーはベッドで寝ていた。
アンは首を絞めようとした?
それとも妄想か。
ポールが帰宅した。
ポールとアンはローラのことを話していた。
アンはアンソニーが自分のことが誰だかわからず、他人の目だったことを訴えた。
ポールは君はよくやっていると優しく抱きしめた。
夕飯前の時間、
アンソニーが時計がない、盗まれたと言う。
アンは洗面所に探しに行った。
アンソニーはポールの腕時計が気になって仕方がない。
(それはポールがアンソニーの腕時計をどうにかしたような口ぶりだ。)
アンソニーはアンとは気が合わない、ルーシーとは馬があったとひとりで話つづけていた。
ポールはイラついてきた。
ポールは反撃する。
いつまで私たちをいらつかせるのか。
あらすじ サライ先生の診療所/サライ先生と面談
アンソニーはアンがパリに行くという話をしたが、
アンは否定した。
あらすじ アンのフラット/買い物中電話で呼び戻される
帰ってきたアンは肉をポールに渡す。
アンソニーのところへ行くと、
セーターが着られなくなっていて、混乱していた。
違うシーン。
ポールとアンは施設に入れる話をひそひそしていた。
いずれその時は来る。
食事時、ポールは少々酔ったらしい。
アンソニーに話しかける。
面倒を見てくれる娘がいてくれてあなたは幸せだ。
僕たちはイタリア旅行を計画していたが、
あなたがアンジェラを首にして、アンが僕たちの家へ連れてきた。
ポールはアンに正論をぶちまける。
アンの気持ちはよくわかる。
わかってるんだ、だが理解に苦しむ。
君はお父さんのため、全力でやってる
尊敬するよ
ここに連れてくると決めたことも、、、
それはいいことだが
別の解決策を考えろ
お父さんはボケてる
どう言えと?
事実を指摘している
別の手段が必要だ
施設に入れろ
アンは明日から新しい介護人が来るからどうして今言うんだと言い返す。
だがいつかその時が来る
介護人が優秀でもアンソニーは病気だ
気が付くとアンソニーがそばにいた。
アンソニーは自室に戻った。
アンはサライ医師に電話した。
あらすじ アンのフラット/アンソニー気分がコロコロ変化する
アンソニーが目を覚まし、窓の外を見る。
暖炉の上にルーシーの絵がないと騒ぐ。
ここはアンのフラットだ。
ローラが薬を持ってきた。
アンソニーはローラが子ども扱いしたことなどには怒り、
自分は知的だと強調した。
薬を飲まずに水だけ飲み、
自分は象の脳だと言い出したりする。
男が現れて、自分らの生活を脅かすなといい平手打ちされる。
男は見知らぬ人に見えたが、
(最後に出てくるビルの顔だった。)
アンが現れてポールだとわかった。
アン夫婦は疲れ切った。
アンソニーは誰かに声をかけられた。
起き上がって進むと病院だった。
(アンソニーの夢かもしれない)
瀕死のルーシーがいた。
あらすじ アンのフラット/朝の出来事
アンソニーはアンと話している。
誰が来るかすぐ忘れてしまう。
毎日ローラが来ているのだ。
ローラが入ってくるが、別人に見える。
(ローラはルーシー似のはずだ)
アンソニーは混乱した。
あらすじ 施設/アンの訪問
アンが訪ねてきた。
アンはアンソニーに話しかける。
アンジェラと衝突して一時的にアンのフラットに来た時のことを覚えているか?と聞いた。
ここの方がずっと安心に暮らせるわ。
アンはパリに住むと言った。
涙がこぼれるアンの頬をアンソニーは優しくなぞった。
アンはタクシーに乗って帰った。
あらすじ 施設/アンソニーの様子
朝目覚めてカーテンを開いた。
ドアを開けて様子を伺う。
介護人が薬の時間だと教えてくれる。
アンソニーは数週間前からここにいるらしい。
以前の介護人ローラは娘のルーシーに似ているはずだが彼女は違う。
そこへ男性の介護人が現れた。
以前平手打ちした男性だ。
名前はビルだ。
女性の介護人はキャサリンだ。
アンソニーは幾度となく同じことを聞いているのだ。
アンソニーは自分の母親のことを語り出した。
そしてママを呼んで迎えに来て欲しいと泣いた。
全ての葉を失くしてしまったようだと泣いた。
着替えて公園に散歩に行こう
介護人は言う。
その後、何かを食べてまた公園に行こう。
良いお天気は続かないから。
時期に気分は落ち着くから大丈夫。
窓の外には風で木々が揺らいでいた。
感想
恐ろしい映画だった。
1回目:普通に鑑賞していたら、アンソニーの居るフラットが誰の家なのかわからなくなった。
アンがパリに行くと言ったのはアンソニーの妄想だったのか?
平手打ちした男性は実在しているのか。
妄想なのか。結局よくわからないままの感想だった。
2回目:アンソニーの家からアンの家に移ったのがわかった。
妹ルーシーが死んでいるとわかった。
この映画はアンソニーの視点から描かれていると思った。
3回目:時系列がぐちゃぐちゃだ。
と思ってしまうのはアンソニーの頭が混乱しているからかもしれないと思った。
アンソニーは娘のルーシーが死んでいるのも忘れている。
ルーシーのことを思うあまり介護人ローラの顔がルーシーに見えたのかもしれない。
ある日の朝いつも来ているローラの顔が違う顔になった。
最初からこういう顔だったのだと思った。
サライ先生との面談でアンがパリに行く話なんてしていないと言っていたが、
それはアンソニーの願望だったのかもしれない。
アンソニー81歳の認知症の症状が進んでいくにつれて、
アンソニー自身が戸惑うのがかわいそうに思えた。
彼は病気なのだ。
不安な気持ちを落ち着かせる薬はあるけれど、進行は止められないのだ。
アンがアンソニーを想う気持ちが痛いほど伝わってきた。
毎日アンソニーのフラットに通う生活から
ポールと暮らすアンのフラットに連れてきた。
アンソニーが介護人を首にしちゃうから自分らの休暇もとれなかった。
アンソニーと同居するのは大変である。
アンの顔もわからない時もあった。
それでも施設に預けるのはまだ早いと思って介護を続けたのだろう。
アンは今でも施設に預けたことを後悔しているかもしれない。
しかし、安堵する気持ちはそれを上回っていると思う。
感想②
ボケたら老人ホームだからな!
実際問題、老人ホームに入れてもらえるのはごく一部に限られる。
日本だと特養老人ホームと言われる年金で入れる施設は少ない。
それ以外だと月に30万かかるのはザラだ。
アンソニーの立場になると
アンソニーは大変恵まれていると思う。
娘がアンソニーを心配してくれて、自分の顔を忘れても何とか介護しようとしていた。
そして、施設にも入居できた。
私は夫の両親を5年介護してきた。
自分の両親は早くに死んだからいわゆるボケ老人になる前だった。
夫の両親はいろいろやらかしてくれたけど、
本人らも自分や回りのことがわからなくなって不安だったのだろうと今ならわかる。
義母がここはどこなのか。
どうすればいいのか。
と言っていた。
だいぶ迷惑をかけられていたので、優しく接することができなかった。
認知症の目線、無い物も見えてしまうのも恐ろしい。
アンソニーは今も自分のフラットでオペラを聞きながら、ルーシーの絵を眺めたりするのかな。
お読みいただきありがとうございました。