護られなかった者たちへ 佐藤健/阿部寛/清原果那倍賞美津子

映画鑑賞

東日本大震災は2011年3月11日(金)。

その日生まれた赤ちゃんは11歳になっています。

皆さまは当時どんな瞬間でしたか。

私は自宅仕事で、物が落下していないか各部屋を調べました。

主人はテレビをおさまえていました。

長男は春休み中で部屋でヤバいヤバいと言っていました。

次男は学校行事でその日は帰宅困難者になり、団体で近くの避難所で過ごすことになりました。

迎えにいこうにも道路が大渋滞でした。

予告編はこちら

詳しくはWikipediaを引用させてください。

東日本大震災 - Wikipedia

この映画はその当時のことと、9年後を行ったり来たりします。

まだまだまだまだ通常通りの生活なんて無理だと感じました。

10年以上経っても、

心の深い部分では憤りを感じていると思います。

どうして、こうなってしまったのだろうか

と。

自然災害である津波のせいだということを理解しても

どうしてこうなってしまったのだろうか。

とみんな考えていると思います。

数年前に父親が死にました。病気でしたし、80歳でした。

その前に母親が死にました。病気でしたし、69歳でした。

私はいい年の大人だから、普段は何もないようにふるまっているけれど、

今でも、思います。

どうして死んでしまったのだろうと。

死んでいい人なんていない。

胸に突き刺さりました。

災害で大切な方々を亡くされた方々はまだこの映画観ることはできないのではないかと思いました。

東日本大震災で大切な方を亡くされた方々にお悔やみ申し上げます。

あらすじ①と感想

生活保護課に勤める公務員の死体が発見されます。

拉致されてから1度も口の粘着テープをはがされた跡がないことから、

餓死で死亡が確認されます。

運転免許証や財布から物取りの反抗ではなく、怨恨ということで捜査がはじまりました。

捜査線上に上がってきたのは

市役所の対応が悪いからと放火し、

逮捕され、

服役していたけど、最近出所していた利根泰久(佐藤健)でした。

途中で利根が犯人ではなく、誰かをかばっていたのがわかります。

そこが切ないです。

誰も悪い人がいなかったのだと思いました。

あらすじ②と感想

餓死で発見された役所の職員、三雲(永山瑛太)は

津波でバラバラになった墓石を1人で直すような善人でした。

その一方で「原理原則」を口癖に

生活保護の受け入れをしていました。

この人に

保護は必要だと感じてもまずは「原理原則」で振るいにかけなくてはいけない、全員には支給できないというつらい現状もあったと思われます。

時折見せる顔がかなり怖かったです。

城之内(緒方直人)も保護課の仕事を懸命にこなしていましたが、同様に心では苦しんでいたのではないかと思われます。

2人が死体役もやっていたのには驚きました。

妻と子どもを亡くした刑事、苔篠(阿部寛)は妻の遺体は発見できたものの、息子は見つかっていませんでした。

息子の腕時計を大事にしています。

利根泰久(佐藤健)は

トイレに産み落とされて母親が誰かもわからず施設で育ち、

津波で助かったのに、生きていて良かったのかと苦しんでいました。

円山幹子、通称かんちゃんは、

母親を失いました。

飲食店勤務の母がお酒と煙草臭くて、優しくできなかったことを後悔していました。

遠島けい(倍賞美津子)は

そんな2人を笑顔で頑張って生きるんだと励まし、

3人は疑似家族のような関係になりました。

利根が他県に就職し、戻ってくると

遠島けいは収入がなく電気もガスも止められていて、生活困難者になっていました。

通帳には数千円しかありません。

お国の世話になるのは嫌だという遠島けいを説得し、生活保護の申請をします。

そこで、三雲はおばあちゃんの面倒を利根にみてもらえないかと尋ねます。

利根は他人なのにと思った反面、

役所としては他人でも何でも面倒みてくれる人を見つけてなんとかしようとしている感じを受けました。

面倒を少しでも見てくれる人がいる人は保護から除外される、原理原則です。

三雲が前面に出て断っていますが、結局決済はもっと上の人間がしていました。

利根が次に戻った時、遠島けいは餓死していました。

遠島けいは生活保護を辞退していました。

利根は

自分らのために生きていくと言ってくれたのに、おかしいと憤り、役所に放火してしまい、服役します。

あらすじ③と感想

模範囚だった利根は2年早く出所します。

そして三雲の餓死事件を知り、

かんちゃんの居場所を探し始めました。

かんちゃん(清原果那)は生活保護課で働いていました。

利根の接触を

「私には私の生活がある」

と拒みます。

その後

かんちゃんは

当時の職員で現在国会議員になっている上崎(吉岡秀隆)を

拉致し殺そうとしていました。

そこを

利根に止められ、逮捕されます。

利根はかんちゃんを最後に護ることができたのです。

かんちゃんが病んで、反抗に及ぶ過程をもう少し丁寧に映像にして欲しかったと思いました。

かんちゃんが殺人まで犯す心の内を、

想像でなんとかこじつけられるのですが、

遠島けいが「餓死」だからといって

かんちゃんがそれを職員数人の対応が悪かったからだと殺人まで犯す心理状態の描写が薄かったと思いました。

あらすじ④と感想

穏やかな波をたてる海の前で利根が語り始めました。

「津波に飲み込まれていく黄色いジャンパーの男の子を救えなかった。

避難所で黄色いジャンパーを着ているかんちゃんを見た時、

かんちゃんは絶対に救わないといけないと思った。」

利根が救えなかった男の子は苔篠の息子でした。(おそらく)

苔篠は「救おうとしてくれてありがとう。」

と言いました。

苔篠が妻の遺体を確認した後、避難所に妻と子どもの霊が来ていて、まさに黄色いジャンパーを着ていました。

そこで、苔篠の腕にある息子の時計がピピッと鳴りました。

エンドロールで流れる曲は月光の聖者達

これを聞きながら泣くのがこの映画の醍醐味。

桑田佳祐さんの曲は胸が締め付けられます。

自分にはそういうことはないと思っていますが、

人生には偶然が重なる時があるのかもしれません。

刑事の苔篠が避難所で妻と子どもを探している時、

おそらく津波で身体が濡れてしまい

震えている利根に階段でぶつかっています。

苔篠はその後、妻の遺体と対面、子どものしていた時計を受け取ります。

幽霊の妻と黄色いジャンパーを着ている子どもが目の前に現れるも

時計がピピッとなり、現実に引き戻されます。

そして

黄色いジャンパーを着ていたかんちゃんに会います。

かんちゃんは親戚のおじさんがいたものの、自分の子どもを探しにいっていなくなってしまい、ひとりぼっちでした。

食料配給の時も子どもだから取れなかったりしました。

そこが予告編で有名な佐藤健が泥水に顔突っ込まれているシーンです。

利根泰久(佐藤健)はメロンパンの配給の時、かんちゃんが突飛ばされて取れないのを見た時、怒って配給場所に行きますが、乱暴になってしまい、回りに取り押さえられてしまったのです。

不器用な利根を佐藤健がいい感じに演じています。

遠島けいは昔自分の子どもを捨てています。

それからは自分の力で生きてきたと自負しています。

ひとりぼっちになってしまったかんちゃんと利根に笑顔で生きろっと

それはこれまで自分はそうやって生きてきたからなんとかなったんだという風に聞こえました。

刑事の苔篠が利根を捜査していく過程で

利根が育った施設でこんなことを聞きました。

「彼はトイレで産み落とされていて親が誰だかわからない、

そのことが皆に広まって、彼は一時水の音がいつも聞こえるとノイローゼになり、水が怖くなってしまった。」

これは最後のシーンで利根が黄色いジャンパーを着ている男の子を救えなかったことを後悔していることに繋がります。

現在も遺体が見つかっていない苔篠の息子ですが、

救えなかったけれど息子の最後を見ていてくれた人がいたということを聞いただけでも言い方が悪いですが、区切りがついたのではないかと思いました。

いい映画ですので、観て欲しいです。

AmazonではDVDが売っていますが、もう少したつとAmazonプライムで無料で観られる日も近いと思います。

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最後に清原果那ちゃん、19歳で高校生と公務員やれるのすごいです。

俳優さんの力量なのか

25歳で、高校生役も珍しくありません。

そういう時、決まってまだまだ制服が似合うなどと俳優さんサイドに忖度した記事があったりで食傷気味でした。

等身大の役ができるのは(偏っていますが)

長澤まさみさん

広瀬すずさん

松岡茉優さん

森奈々さん(フジパン スナックサンドのCMに出ています)

「ちはやふる」で広瀬すず・松岡茉優・清原果那は共演していますが、

感動しましたもん。

清原果那さんが演じていたのを知っていましたが、

高校生の時と保護課の職員の時では別人に見えます。

華やかな顔立ちではありませんが、

すごい女優さんになります。

楽しみです。

ちはやふる上の句下の句はAmazonで観られます。

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