炎は赤い部分より青い部分の方が温度が高いです。
昔、理科で習いました。
あらすじ
秀一(二宮和也)は母親(秋吉久美子)の元再婚相手曽根が勝手に居候しているのが許せない。
毎日酒を飲むだけで何もしない。
母親にお金をせびる。
しかも母親を抱いたり、妹(鈴木杏)にからんだりすることで怒りが倍増,
ついには殺人の計画をたてて、感電死させてしまう。
うまくいったと思っていたが、同級生に見られていた。
同級生が脅迫してきたので、また殺してしまう。
同級生が30万要求してきたので、自分のバイトするコンビニを襲わせ
正当防衛に見せかけてナイフで刺したのだ。
刑事(中村梅雀)に追及され、観念するのだが、友人とお別れしたいからと帰らせてもらう。
美術部の紀子(松浦亜弥)と会い、その後トラックにぶつかった画像で終了する。
感想
コンビニ店員役で唐沢寿明さんが出ていて面白かったです。
なぜに秀一が殺人を犯してしまったかというと、家庭環境の悪さがひとつの原因だと思います。
曽根を嫌悪し、曽根とぶつかる秀一に母親が言います。
秀一は私の連れ子だけど、妹のはるかは居候曽根の連れ子であなたたちは血が繋がっていないと言うのです。兄弟仲はとても良かったのに、突然そんなことを言われてしまいます。
ショックを受けています。
なんで今頃言うのでしょうか。
多感な高校生に今言うべきことでないと思います。
はるかと養子縁組をしたいけれど、それには曽根の許可がいるということ、
来年はるかは15歳になるのでそうすればはるかの希望で養子縁組ができるから同居はそれまでの辛抱だというようなことを一方的に言われてしまいます。
秀一が曽根を忌み嫌っているのを知っているのに、
自宅で曽根と寝てしまう母親。
子どものいる時間の自宅でするのは間違っています。
曽根の殺人後、妹のはるかが秀一に打ち明けます。
曽根が酔ってからんできてドア越しにこう言っていたと。
はるかの父親であること、病気でもう長くはないこと。
秀一はどうしてもっと早く教えてくれなかったのだと憤りを覚えます。
私ははるかの養子縁組云々の前に母親がそのことを秀一に言わなかったことに憤りを覚えます。
知っていたはずです。
もうすぐ死んでしまう人間のために殺人を犯してしまいます。
どんな人間でも殺されてもいい人間はいません。
秀一に殺人をさせたのはなんだったのか。
母親もおかしいですが、
母親もまたふたりの子どもを抱えていっぱいいっぱいで
そこまでの精神的なケアが出来なかったとも考えました。
3人で食事のシーンでは幸せそうな家族が伝わってきていたからです。
母親なりの家族の在り方を他人が責めるべきではありません。
憎しみを炎に例えて
赤い炎はいずれ消えたかもしれないけれど、
青い炎は熱すぎて消せなかったのかもしれません。
亡くなった蜷川幸雄監督作品ということで興味を持ちました。
ですが、二宮和也の演技だけが引き立つ映画でした。
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