文と更紗だからこそのストーリー。
2人を守ってあげたくなるし、そっとしておいて欲しい。
映画を観る前に知っておいた方がいい情報をまとめました。
文の病気
佐伯文(さえき ふみ):松坂桃李
映画では詳しくは語られません。
(これを知っておかないとモヤモヤしながらラストまでいってしまいます。)
性腺機能不全:男性ホルモンが分泌されず、精巣の発育などがされないまま大人になってしまう病気です。
見たことがないので、想像です。
外見は大人なのに、おちんちんだけが毛も生えず、小学生低学年みたいなままなのかなと思います。
いわゆる、「やりたくなる」「むらむらする」等の気分にもならないのかと想像しました。
文の母親(内田也哉子)は文に言わせると真っ直ぐな人間。
文の病気を受け入れられず、文に愛情を注ぐことが出来なかったようです。
母親が庭に植えた植物が成長せず、引っこ抜くシーンがありました。
そこで母親はその植物ははずれだったと言います。
文は自分もはずれの人間だと感じたようでした。
母親は
19歳の文が少年院を出所した後、庭に小さな家を建て、そこに文を住まわせました。
食事は運んでくれたようです。
母親は「私が悪いのか」と言っていましたが、
彼女自身は自分を責めて責めて、
どうして普通に産んであげられなかったのか、
誰にも言えないその病気を抱えて、
文の顔を見ることが出来なくなっていったのだと思います。
なので、知っておいた方がいいと思いました。
家族が母親しか出てきませんが、都会ではない地方の大きい家と思いました。
簡単に語ってはいけないことですが、
文の病気の受け止め方がマイナスばかりでした。
家族が文の精神面をもっとケアしていれば、病気の受け止め方も違っていたし、生き方も変わってきたと思います。
更紗の生きてきた環境
家内更紗(かない さらさ):広瀬すず 幼少期は白鳥玉季ちゃんが演じてました。
更紗が、父親はお腹にできものが出来て、あっという間に死んでしまったと言っていました。
母親は彼氏と暮らしていると言っていました。
母親からの愛情は十分ではなかったと思います。
多分母親のお姉さんである伯母さんに引き取られ、生活していたのだと思います。
その家には
伯母さんの子ども中2の男子がいました。
彼は両親が寝ると夜な夜な更紗に性的虐待をしていました。
映画では語られていませんが、更紗の母親は自由人で、
更紗もそんな母親に育てられ、明るい子どもだったみたいです。
文の家で過ごす更紗が本当の更紗であったのだと思いました。
警察に保護された後も伯母さんの子どもに虐待されたことは言えませんでした。
ロリコンの大学生に2ヶ月も拉致監禁された可哀想な女の子という看板を背負っています。
恋人の亮、バイト先のファミレスもそのことを知っています。
更紗の幼少期 白鳥玉季ちゃん
本来の更紗であろう天真爛漫さが伝わる演技力でした。
文の元で思いっきり睡眠を取った後の更紗に
「いっぱい寝たね。」って褒めてあげたい気持ちになりました。
何度も繰り返し映画を観た中で玉季ちゃんが大きくなると広瀬すずさんになるとしか思えませんでした。
更紗の同棲相手・恋人
中瀬亮(なかせ りょう):横浜流星
更紗とは結婚前提の同棲をしてました。
文に偶然会わなかったら、亮君と結婚していたかもしれません。
更紗は自分を好きになってくれた人なら自分を受け入れてくれると信じて生きてきただけで、
亮君を好きだったのかどうかわかりません。
亮君は母親に捨てられた過去を持ち、祖母に育てられました。
母親からの愛情は欠如しています。
従姉妹の話によると
逃げ場を持たない女性ならば、自分を捨てないだろうとそういう女性を選んでいるということでした。
更紗の心が自分に向いていないことを察知し、嫌がらせ行為や暴力を奮っています。
神経が高ぶって怒りがマックスになると身体全体が震える演技が凄かったです。
文が大事にしたい女性
谷まりあ:多部未華子
文のことを南君と呼んでいました。
事件の事は知りません。
看護師をしているようです。
文が大事にしたいと思っていると言っていました。
谷が文に抱きつき、キスをし、自分から誘うシーンがあるのですが
未遂で終わりました。
付き合っているのに、手を出さないから、だんだん不安になってしまいます。
苦しい役を雰囲気で演じていてとても良かったです。
多部未華子さんは好きな女優さんです。
主演をはれるオーラのある方なのに、今回普通の女性を見事に演じていらっしゃいました。
ファミリーレストランの同僚
安西佳菜子:遊里
シングルマザーで一人娘(増田光桜)を育てています。
「新しいパパをゲットしてくるね」とまだ相手の男性は離婚もしていないのに
更紗に預けて、旅行に出かけます。
そして予定を過ぎても帰って来ず、それが結果として文と更紗を追い詰めました。
こういうタイプの女性は割といるのかもしれないなと思いました。
普段片親で子どもを育てていると息詰まることが多いと思います。
解放された途端、もう少しは大丈夫だろうと自分を納得させてしまい、更紗からの連絡をも無視していました。
娘役の増田光桜ちゃんは良かったです。
文と更紗を信頼し安心しきっていたと思います。
ファミリーレストランの店長
店長:三浦貴大
何回観てもどこに出ているかわからず、調べてしまいました。
よくよく見たらそうでした。
更紗は仕事はしっかりしていたと思われ、
そんな更紗に信頼を寄せていましたが、
15年前の事件のことが公になり、更紗は退職します。
店長は本当に心配している人もいると言っていました。
店長自身がそうなんだなって思いました。
あらすじ
雨の夕方の公園、
濡れたまま本を読む9歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。
引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。
が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。
それから15年後。“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。が、更紗のそばには婚約者の亮がいた。更紗の過去も受け入れた上で、彼女を見守ってきたつもりの亮だったが、変化が訪れる。
DVDチャプタータイトル
1.雨の公園
2.静かな生活
3.蘇る記憶
4.再開
5.奇跡のような日々
6.不協和音
7.彼女の存在
8.束縛
9.暴発
10. 湖で
11. 隣どうし
12. 同僚の娘
13. 執着
14. 孤独な日々
15. 許されないふたり
16. 別れ
17. 告白
18. 流れる
ラストシーンのセリフ
「いいの。俺といたらどこにいっても、、、」
「そしたらまたどこかに流れていけばいいよ」
ストックホルム症候群
更紗はストックホルム症候群なのではマスコミに言われましたが、そうではありませんでした。
小学館のデジタル大辞泉から抜粋しました。
誘拐事件や監禁事件などの被害者が、犯人と長い時間を共にすることにより、犯人に過度の連帯感や好意的な感情を抱く現象。ストックホルムシンドローム。
[補説] 1973年にストックホルムで起きた人質立てこもり事件で、人質が犯人に協力する行動を取ったことから付いた名称。
自然の風景と流れる音楽が映画を盛り立てる。
最初の出会いでは風で揺れる木々や激しく降る雨の音の中、不安げにひとつの傘で歩く文と更紗が印象的でした。
優しくカーテンを揺らす風、更紗は文のベッドで眠りを貪りました。
文の母親が抜く成長不良の木、その他の庭の草木が強烈な緑を放っています。
昼間、湖で泳ぐ更紗が見た月。
絶望した文が湖に入って嗚咽しながら見た月。
谷さんと文が見た月。
更紗が亮君に殴られて、街を徘徊する時に出ていた月。
更紗が湖に飛び込んだシーン、更紗は何を叫んだのかな。
まとめ
文と更紗はかわいそうなんかじゃないと思いたいです。
ふたりはかわいそうとか思って欲しくないと思います。
文には更紗がいますし、
更紗には文がいます。
9歳と19歳は随分違うけれど、
24歳と34歳はもうおかしくないです。
44歳と54歳はしっくりきます。
74歳と84歳は?
松坂桃李さんの19歳と34歳が良かったです。
彼しか出来なかった役と思えるくらい良かったです。
文が珈琲を入れるシーンが何度かありましたが、
香りがただよってくるようなそんなシーンでした。
亮君に殴られて多分口を切っていた更紗にアイスカフェオレを作るシーンが大好きです。
お読みいただきありがとうございました。
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