ある男/自分の出自を別人と交換する気持ちの奥にあるものは何だろう。ある男/主人公は城戸?

チマチョゴリ 映画鑑賞

幸せな家庭を築いていた家族は事故で夫が死んだことにより、

それが偽りだったことを知りました。

愛したはずの夫は、まったくの別人でした。

最後まで観ても、なんかはっきりしないので、現在原作を読んでいます。

登場人物

妻夫木聡————-ある男の正体を調べる弁護士・在日3世・城戸

真木よう子———-弁護士の妻・実家が資産家・城戸香織

安藤サクラ‐———前夫との離婚時に城戸に世話になった。谷口里枝

今回亡き夫の身元調査を依頼する。文房具屋さんの娘

窪田正孝————-伊香保の老舗旅館の次男という肩書?林業に就職し、作業中に事故で死亡。

本当は原誠(はらまこと)。父親は死刑囚で,そっくりな自分を見るとわきあがる感情で自分を殴りたくなる。

清野菜名————-スナックの店員、伊香保老舗旅館次男の元カノ・後藤美涼

仲野太賀————-本物の伊香保老舗旅館の次男、谷口大祐

眞島秀和————-伊香保老舗旅館の長男・谷口恭一、嫌み感じの悪い人。

小藪千豊———–妻夫木聡の同僚弁護士・中北

柄本明—————-出自を交換する仕事?・服役中・小見浦憲男・戸籍ブローカー

平野啓一郎———「ある男」原作者・19万部突破

あらすじと感想(里枝と谷口大祐の出会い)

最初のシーンに後ろ姿のみの2人の男が描かれた絵。

文房具屋で店番をしながら、文房具の整理をしている里枝。

何か考え事をしていて、しまいにはこらえきれなくなり、涙が出てきました。

離婚して、長男とともに実家に戻ってきた女・里枝はそれなりになんとかやっているようです。

心の中の悲しみは見えたりしないからです。

里枝は次男を脳腫瘍で失いました。

前夫とは次男の治療法でもめた過去があり、それがきっかけで離婚したようです。

実家の父親も死にました。

母親は孫がひとりではかわいそうだから、爺ちゃんも逝ってあげたと話していました。

実家は文房具屋さんです。

小さな町ではよそ者が来るとすぐに噂になります。

林業を営む会社に

伊香保温泉老舗旅館の次男坊という男が入社したそうです。

その男が文房具屋にやってきます。

男はスケッチブックや水彩画の道具を購入しました。

谷口大祐という男です。

寡黙で誠実そうに見える男は

何度か来店した後、

「友達になってください。」と言い、

里枝と大祐が

結婚するまでにはそんなに時間がかかりませんでした。

2人の子どもである娘も3歳になり、穏やで幸せな生活を送っていました。

しかし、

仕事中、不慮の事故で男は死んでしまいました。

あらすじ②と感想(Xの死と在日3世の弁護士城戸)

大祐の1周忌法要。

里枝は伊香保温泉老舗旅館に連絡を取り、大祐が死んだことを伝えました。

兄の谷口恭一は遺影を見て、

「これは弟ではない」と言いました。

里枝は城戸に連絡をし、

亡き夫の身元調査をお願いするのでした。

亡き夫は身元が判明するまで「X」と呼ばれることになりました。

城戸には家族がおり、妻の実家は裕福です。

4歳の息子も可愛い盛りです。

妻の香織は城戸の仕事に対する理解が薄いような印象を受けます。

香織の両親は韓国人に対して差別的意見も言いますが、

城戸に対しては在日3世だし、帰化している(日本国籍を持っている)のだから別だと言い訳をしています。

何だか嫌な感じで、城戸は苦笑するしかありません。

あらすじ③(戸籍ブローカー)

同僚の中北が現在やっている仕事で

こんな話をしてくれました。

安いワインのラベルだけを高いワインのものにする、これはこの物語の中で意味深です。

そしてもう一つ、

67歳の男性Aが30代の女性と結婚したいが為に、

55歳の男性Bと戸籍を交換したらしいのです。

BはAの年金を受給して、ばれてしまい、双方捕まってしまいました。

その仲介をしたのが、小見浦でした。

城戸は服役中の小見浦憲男を訪ねました。

そして彼から送られてきた絵葉書で最初はわからなかった意味を調べていくことによって、

谷口大祐は曽根崎義彦という男と戸籍を交換したということに気がつきました。

原誠は最初に曽根崎義彦と戸籍を交換し、

曽根崎義彦(原誠)はまた戸籍を交換し谷口大祐になったのです。

原誠の原という姓は母親の実家姓でした。

元々は小林誠というのが彼の氏名でした。

父親の小林謙吉が死刑囚ということで、

まずは母親の姓にしたのです。

父親と顔が似ている原誠は自分を痛めつけるためにボクシングをやります。

しかし、

どうしても小林謙吉から逃れることが出来なかったのでしょう。

心の中はどうしたって、逃れられない血筋と死刑囚の子どもであること、50%はそいつの血が流れているのだと思うと発狂するくらいになってしまっていました。

その後の経緯は不明ですが、谷口大祐になり、

里枝のいる町にやってきて、安住の地を見つけたのかもしれません。

里枝の弱っている心に共鳴したのかもしれません。

あらすじ④と感想

城戸は美涼と死刑囚の展覧会に行きました。

そこで、目の部分が塗りつぶされている絵を見つけます。

それはXの父親小林謙吉が描いたものでした。

Xが残したスケッチブックにも目の部分が塗りつぶしてある絵があったことを思い出します。

どんなにも、忌み嫌い縁を切りたいと思っていても、

逃れられないものを感じました。

美涼もまた元カレの本当の谷口大祐を見つけました。

大祐は美涼を見て、泣いていました。

城戸は家族で外食にきました。

香織のスマホに不倫相手とみられる男性からの通知がポップアップされました。

あらすじ⑤と感想

カウンターがあるバーで

城戸が「自分は伊香保老舗旅館の次男坊」だと隣にいる男に話していました。

そして、別れ際、自分は名刺を切らしている、私は、、、

と名前を言う前に映画は終わりました。

最初と同じように、後ろを向いている2人の男の絵が見えました。

ミステリー映画だと思っていましたが、

とんでもなく、深い問題を扱ったものでした。

城戸は偽りの経歴を話した後に私は誰だと答えるのだろうと

これは映画を観ている人にゆだねられています。

この流れだと「谷口大祐」が濃厚ですが、言わない選択もあります。

まとめ

在日韓国人・在日コリアン・在日朝鮮人・在日と差別用語に聞こえる言葉

死刑囚の身内・犯罪者の身内

この他にも

学歴や出身地の差別

人間が人間であるからして、逃れられないものがたくさんあります。

Xが原誠であり、ボクシングをしている時、

ジムの会長に「お前の親が死刑囚でも関係ない。お前には才能がある。」と

言ってくれましたが、

自殺未遂でボクシングから遠ざかりました。

日の当たるところに出たらどんなことになるか、

原誠は知っていたからです。

城戸は弁護士という立派で社会的地位もある仕事についています。

しかし、血筋からは逃れられません。

戸籍ブローカーの小見浦にも「顔で在日とわかる。」と失礼なことを言われてしまいます。

今後も差別のない世の中にはならないでしょう。

差別があるから、人間は学び、頑張れるのではないでしょうか。

反対に頑張れない人もいると思います。

有名私立小学校の受験では親だけでなく両親の祖父母の経歴が必要なこともあります。

どんなに頑張っても塗り替えられない過去や血統、

人間がそれを選ぶ以上仕方ないと思います。

私は高学歴のママ友とのお食事会、自分の学歴が恥ずかしく感じます。

もしかしたらママ友はそんなこと気にしていないと言うかもしれません。

今さら、お勉強してやり直すこともできません。

でもコンプレックスは消えません。

学歴詐称や年齢詐称、現在は整形を隠して顔面詐称している方も多いです。

回りの方の意識も必要ですが、

まずはその人ごとの内面意識が変わらなければ、何も変わりません。

私が死ぬまで学歴コンプレックスがあるように、そういうのある人っていると思います。

お読みいただきありがとうございました。

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