違うだろう~と思いつつも引き込まれていく感情は、
すでに
蜷川実花ワールド。
金魚と花と着物、ごちゃごちゃ感・ごちゃ混ぜ感はないです。
それはすごいことだと思いました。
綺麗です。
原作とは役設定が違うが、わかりやすいストーリーになっています。
日本の美という観念からすると、
いろいろ言いたくなる方も多いかと思いますが、
そんなんじゃつまりません。
蜷川実花さんは天才です。
これが蜷川実花ワールド、本当に素晴らしいです。
実際の昔の吉原遊郭の花魁道中つーても、かなり地味目だった思います。
それを現在の視点でここまでわびさびをきかせてくるって、天才です。
新しいが古いに調和しています。
花魁になるまで
① 禿(かむろ)と呼ばれ、
高級遊女のそばでいろいろ学びます。
花魁(高級遊女)になるには、
古典
書道
茶道
和歌
箏(お琴や筝)
三味線
囲碁
将棋
を勉強しなければなりません。
この時かかる費用、お着物代、食費はすべて花魁(高級遊女)が支払うそうです。
禿(かむろ)という字は(はげ)とも読めますが、
女の子らがまだ脇や性器に毛が生えていないことから言われたそうです。
② 引き込み禿とそうでない禿に別れる。
引き込み禿は振袖新造となり花魁候補(上級遊女)となっていきます。
17歳で水揚げされてから、遊女としての道を進みます。
そうでない禿は留袖新造となり、中級遊女以上にはなれません。
15歳でお客を取り、遊女としての道を進みます。
器量の良し悪し。
何歳で遊郭に来たか。
などいろんな理由があるそうです。
あまり遅くに遊郭に入ると、花魁になるための勉強が追い付かないとかでしょうけど、
美醜はいつの時代も大事な条件です。
あらすじ
8歳で吉原遊郭「玉菊屋」に連れて来られた女の子(小池彩夢)が
禿(かむろ)から花魁(土屋アンナ)になり、最後はそっち?を選んだのっていうストーリーです。
先輩花魁がとても良かったです。
粧ひ(菅野美穂):禿のきよ葉が遊女になりたくないと脱走したりするのを、戒め、成長させてくれた花魁です。
花魁は自分の都合の良い言葉を客に言わせることができると言っていて、
そういうのを「手練手管」と言うんだよときよ葉に教えていました。
きよ葉も粧ひの手練手管にやられてしまい、
嫌がっていた遊女になってやると自ら言ってしまうのでした。
ここはめっちゃ良いシーンでした。
私は花魁なんてなりたくないぃ。
花魁にはなりたくてもなれない奴ばかり。
その花魁にまんまを食わせてもらっている。
お前になれるのか。
見事な手練手管でした。
きよ葉自ら、なってやる!と言わせるのでした。
あらすじ②
粧ひは、お金持ちに見受けされ、吉原遊郭を出て行きました。
花魁は高尾(木村佳乃)です。
高尾は「まぶ」に心を奪われ、身を滅ぼしていきます。
きよ葉は高尾のお客についたところ、惣次郎と顔見知りになります。
惣次郎はこんなところには慣れていないと言い、きよ葉の心に入り込みます。
後日、きよ葉が惣次郎を気になっていたところに
惣次郎が現れ、きよ葉は恋に落ちてしまいます。
本気になってしまった相手のことを「まぶ」と言うらしいです。
「まぶ」が出来てから、本業に身が入らないきよ葉です。
でも、そんな相手がいることを羨ましがる遊女もいました。
その遊女は高尾に告げ口しました。
あらすじ③
高尾には浮世絵師 光信(永瀬正敏)という「まぶ」がいました。
高尾は光信を心中してもいいくらい、愛していました。
しかし、光信はきよ葉に見つめられたと絵を描いていました。
嫉妬する高尾。
それから、
多分、高尾は花魁としての自分が抱えるものが大きかったため、
「まぶ」に一途になれるきよ葉にも嫉妬したのだと思います。
(花魁は大きな借金も抱えているし、花魁道中や禿の着物や教育代も全て花魁が払う。)
きよ葉が太客との時間に
「まぶ」つまり惣次郎を呼び出し、密会させて、
太客を怒らせてしまうのでした。
「まぶ」が来ているのに、いくら客とはいえ、相手できますか?って感じですよね。
あらすじ④
きよ葉は、遊郭を抜け出し、惣次郎の元に行ってしまいます。
が、彼はきよ葉を見て笑っています。
きよ葉は「笑う鬼だ」と本性に気が付き、その場を去ります。
惣次郎は遊郭に慣れていない風を装いながら、遊女を転がす奴でした。
きよ葉は遊女としての道を本格的に歩き始めました。
その一方、高尾は「まぶ」の光信を愛するあまり、心中しようとし、殺されてしまいます。
高尾の首筋からは勢いよく血が吹き飛びました。
(これも蜷川実花ワールドで鮮やかな血しぶきシーンになっています。)
あらすじ⑤
花魁となったきよ葉こと日暮には大名武士松本倉之助(椎名桔平)が太客に付きました。
日暮が吉原遊郭に桜が咲かないと言うと、
倉之助は桜を植えてくれました。
日暮が誰の子かわからない子を身ごもっても、見受けすると言ってくれました。
日暮が見受けされる朝、
咲かない桜の木を眺めていました。
そこへ、清次(安藤政信)がやってきます。
清次は日暮が禿の時から何かと面倒をみてくれていました。
清次は遊女が産んだ子どもで遊郭で育った人間です。
日暮がこの木は桜を咲かせないと言ったところ、
ひっそりと咲いている桜を示してくれました。
禿の時から心を通わせていた日暮と清次。
2人は駆け落ちして、桜が満開の場所に行きました。
2人の将来は明るくないかもしれませんが、満開の桜はそんな暗いことを吹き飛ばすように満開です。
感想
先輩花魁の菅野美穂と木村佳乃が最高に良かったです。
昔花魁だった小泉今日子が遊郭に出入りしているのも良かったです。
浮世絵師の永瀬正敏と合体している木村佳乃の演技は女の性を感じさせました。
浮世絵師っていう当時の流行り職業で、花魁の「まぶ」でありながら、
その部下きよ葉を描いちゃうっていうのが男の性で、
それに嫉妬する花魁木村佳乃。
お見事でした。
なぜに遊郭出身の女から生まれた清次と駆け落ちしちゃうのかわからないけど、
日暮こときよ葉は自由に生きたかったのだろうね。
心もね。
忌野清志郎さん、ガレッジセールのゴリ、渡辺なおみさん、齋藤飛鳥さんが出演しているはずですが、
2回観てもわからなかったでした。
花屋の小栗旬さんはすぐわかりました。
お読みいただきありがとうございました。
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