香取慎吾さん主演の「凪待ち」は考えさせられるヒューマン映画でした。
あらすじ
木野本郁男(香取慎吾さん)と昆野亜弓(西田尚美さん)は事実婚、内縁関係です。
川崎市で暮らしていました。
亜弓は前夫と間に子ども美波(恒松祐里)がいます。
ひきこもりです。
美波は郁男になついています。
亜弓の実父(吉澤健)が末期がんで、石巻市に3人で帰ります。
郁男はそれをきっかけにギャンブルから足を洗う覚悟がうかがえます。
新しい職場の工場で知識のある郁男はそこそこの信頼を受けているようです。
亜弓ともいつか南の海に行こうねと仲良さげです。
ですが、職場の人に誘われてまたギャンブルに手を出していきます。
競輪にのめり込んでいきます。
多分亜弓のであろう、封筒からお金を取っていきます。
やめないといけないと思う良心とギャンブルに依存していくもう一つの心の葛藤があります。
ついには多額の借金を負ってしまいます。
その一方で
娘の美波の帰りが遅く連絡が取れない亜弓は半狂乱になって探します。
一緒に探していた郁男と口争いをし、車から降ろされます。
郁男がボーリング場で美波を見つけた後、亜弓の携帯に連絡すると
亜弓は何者かに殺されていました。
絶望する3人。
そして
職場から現金が盗まれたことで郁男が疑われます。
(盗んだのは職場の競輪仲間です。)
警察から、亜弓殺しの容疑者にされます。
口争いをして車を降りた後に殺されてしまった亜弓、自分のせいだと自暴自棄になり
ギャンブルにお酒に依存していきます。
地元の祭りで酔っぱらってフラフラ歩く郁男にヤンキーがぶつかり、けんかになります。
倒れてしまいます。
そんな郁男に小野寺修司(リリーフランキー)が駆け寄って
「この人俺の知り合いだから勘弁してやって。」と言います。
小野寺は職場で郁男が暴れて機械を壊した時もお金を貸してあげたり、今度は自分と同じところで働くように手配してくれます。
ですが、小野寺が亜弓殺しの犯人でした。
俺がいると回りが不幸になると郁男は去る決心をします。
ところが
駅で電車待ちしていたはずの郁男が
やくざがやっているギャンブル場に行き、暴れます。
理由は
亜弓のお父さん勝美が船を売ったお金で借金を返せと言ってくれました。
その時残った50万を一気に賭け、当たったのに
やくざさんがお金をくれなかったからです。
裏ギャンブル場みたいなところを棒でぶったたき、モニターを何台も壊します。
結果
ボコボコにされた郁男を迎えに行ったのは亜弓のお父さんです。
組長は亜弓のお父さんに昔命を助けてもらったということで
郁男を帰らせます。
しばらくすると
儲かった分を支払わなかったやくざさんが300万持ってきます。
何かを考える郁男。
亜弓は郁男に内緒で、お父さんと美波を保証人し婚姻届を書いていました。
婚姻届に木野本郁男と書きます。
郁男はやくざさんから受け取ったお金でお父さんの船を買い戻していました。
3人で海に出ます。
とても穏やかな海です。
婚姻届を静かに海に流す郁男。
ゆっくりと沈んでいきます。
凪
風力ゼロの状態。
風が止み、波が穏やかになること。
感想
香取慎吾さんがいい。
SMAPのイメージはまったくないです。
俳優です。
何も持っていないから亜弓に求婚できない郁男。
でも人間的な良心を持っているから美波はなついている。
こんなんじゃ駄目だとわかっているのにまたギャンブルや酒に逃げる郁男。
亜弓や亜弓のお父さんに優しくされてそれに答えようとする郁男。
小野寺に職を紹介されたりお金を工面してもらったり人間の優しさに戸惑う郁男。
競輪にどんどんお金をかけていく様は狂気。
「やめて、やめて。」と思うのに郁男はかけていく。
気がついたら泣いていました。
誰が殺したのか。なぜ殺したのか。とキャッチコピーがありましたが、
映画内では全く触れず、
なぜ殺したのかはわからないまま映画は終わってしまいます。
リリーフランキー演じる小野寺は足が悪かったと思います。
コンプレックスがあったかもしれません。
それと亜弓に恋心があったと思います。
ギャンブル狂いの郁男よりもまだ自分の方がいいのではないかと勘違いした小野寺が言い寄ったけど
駄目で、殺しちゃったのかなと思いました。
いろんな考えがあると思います。
婚姻届が海に静かに沈んでいく様はじーーんときました。
郁男、これからは真面目に働いていくんだろうと思わせるシーンでした。
人間の本質は変わらないから、また繰り返してしまうんだろうけど、静かな終わりでした。
香取慎吾さんのものがまた見てみたいと思いました。
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