ヤクザ映画が大好物で
「仁義なき戦い」はマイバイブルのようなもの、かといってぐれてはいません。
あのめちゃくちゃ感が好きです。
ストレス解消によく物を投げます。壊れても惜しくない物をです。
それよりヤクザ映画観て発散させた方が、ぜったいいい。
この映画の前に
ぜひ2018年5月公開の弧狼の血から観ていただきたいですね。
暴力団対策法成立前の昭和63年(1988年)の広島を舞台に大上省吾(役所広司)がヤクザさんをうまく操っていたけど、殺されちゃいました。
っで、その続きが弧狼の血 LEVEL2なわけです。
日岡秀一(松坂桃李)がヤクザさんのまとめ役になってて、
ヤクザさんらも暴力団対策法が成立される前ってことで、
いろいろやりずらい世の中になってきたし、
これからはビジネスで生きていかないとね、、、
みたいな感じになっていました。
牙を抜かれた狼みたいなイメージでね。
そこに出所してきた上林(鈴木亮平)がめっちゃ迫力あって、怖い。
人間じゃありません。
その目に睨まれたら、小指くらい落とします。っていうくらいの凄みがありました。
ちなみに大上と日岡は警察官です。
ちょこっとだけ全作おさらい
新人警察官として入ってきた広島大卒、日岡(松坂桃李)は正義感が強く、
大上(役所広司)のヤクザよりヤクザの態度に納得がいかず、監察官の嵯峨(滝藤賢一)にチクっていました。
ですが、
大上が14年前の抗争をきっかけに
対立している広島の五十子会と地元「呉原」の尾谷組を
うまくまとめているおかげで
まずまず平和な暮らしが出来ているということがわかりました。
ひとたび抗争が始まれば、一般庶民にも被害がくるのはわかっていました。
しかも大上は警察内部の人間が
もみ消したり知られたくない内容を記録したノートを持っていて
大上のことを良く思っていない警察内部も大上をどうすることもできないでいました。
弱みを握られていたのですね。
大上を消したい人間は多かったはずです。
大上は酔って溺れて死んじゃったという最後でしたが、本当のところはわかりません。
その後、
日岡は
尾谷組の若頭一ノ瀬(江口洋介)に五十子組の会長・五十子正平(石橋蓮司)を殺させます。
そして
五十子正平の首を取らせるお膳立てしておきながら、
一ノ瀬を逮捕しちゃいました。
日岡の考えた抗争の終わらせ方は組織の上の人間を始末するということだったのです。
ここまで覚えておくと2が面白いですよ。
あらすじと感想
尾谷組の若頭は刑務所の中です。
日岡が捕まえました。
だから、尾谷組は日岡のことを信用はしていない感じです。
五十子正平(石橋蓮司)を親父と慕っていた五十子組の構成員上林(鈴木亮平)が出所してきました。
模範囚として出所というより、何かわけありで出所させられた気がしますが、よくわかりませんでした。
上林は出所後すぐ
刑務所で散々自分を殴り、愚弄してきた刑務官の妹(筧美和子)を殺します。
筧美和子さんの豊満な肉体は下着姿のみで残念でした。
眼球を取り出されており、その残虐な行為から
ヤクザの殺し方ではないという意見もあり、捜査がすすみません。
しかしそうやって上林をすぐ逮捕せず、
証拠不十分としていたのは警察で、その凶悪さを見込んで、泳がせていたという話になっています。
その殺人事件の捜査が広島県警本部に設けられ、
呉原東署から応援として日岡(松坂桃李)が呼ばれます。
策略を感じますよね。
定年間近の瀬島(中村梅雀)と組まされます。
監察官は嵯峨(滝藤賢一)です。
大上と同じく何か怪しいことをやっている日岡に警察が内部捜査を始めている感じです。
相棒の瀬島がいい人すぎて、かなり怪しいのです。
もともと公安畑だと自ら打ち明けて安心させています。
自宅に招かれて食事をする際、
難病を患い、死んでしまった息子の仏壇があったり、うさんくさいのです。
奥さん(宮崎美子)が用意した広島名物タコ飯が美味しそうでした。
後で、このマンションはだいぶ前から空部屋で
瀬島が現役公安で、日岡を陥れる為のスパイだと気がつきます。
日岡はスナックのママ真緒(西野七瀬)の弟近田幸太通称チンタ(村上虹郎)をスパイとして
ヤクザ社会に潜り込ませています。
チンタは今度の仕事が終わったら母親がいる韓国に行くと決めています。
なので、きっと死ぬんだなと思いました。
チンタは出自も環境も悪いけれど、いい青年に見えます。
腹が減ったと真緒のところに来るシーンは好きです。
チンタは上林の下で働きますが、
覚せい剤を打たれたり、
日岡の銃殺を失敗した落とし前で小指を落としたりするのですが、
上林の行動を知るにつれ、日岡のやっていることは正しい、あいつらを野放しにしてはいけないと言っています。
結局は上林に殺されてしまいます。
誰かが上林にチンタが日岡のスパイだと写真を送ったのです。
上林は殺してから、チンタのパスポートを見て、同胞と気づいたようでした。
写真を送ったのは安芸新聞の記者かと思っていましたが、後で警察が送ったのだとわかります。
ということは
上林を出所させ、
日岡と繋がっている尾谷組と日岡、そしてチンタを全部ひっくるめて
殺させ、
それから上林をパクろうと計画をしていたのではないでしょうか。
チンタの生き様は健気で愛おしくなります。
私の中の日本アカデミー賞助演男優賞です。
上林の生い立ちとして
両親を殺した供述がありました。
アル中の父親にいつも殴られていて殺されると思ったので、殺しました。
母親は殴られる上林を見ているだけだったので、殺しました。
で、眼球も引っ張りだしました。
そこはね、死体の眼球がないってだけで、どんなに親父がひどかったのかは省いてましたね。
なので上林の残虐非道な部分がそれだけで完成されたとかわかりませんでした。
両親からネグレクトされていたので、
残飯を分けてくれた食堂に今も行っていて、受けた恩は返すみたいな部分もありました。
大勢の方が言っているコンプライアンスに反する映像には規制がかかるから、はしょったのも仕方ないのですかね。
子どもが殴られるシーンはきついですから。
もう少し丁寧に描いていただきたかった部分でもあります。
近田真緒(西野七瀬)はしっかり現実を見つつ、
チンタが殺されても、幼い兄弟をしっかりと育てていくのだろうなと思わせる今回のヒロインです。
演技はうまいとは言わないけど、善戦したといえるくらい頑張ったと思います。
外見はかなり作り上げてたと思います。
日岡とは男女の関係にあったようですが、日岡と知り合ったせいでチンタを失ったとも言えますね。
亡き五十子組会長の妻(かたせ梨乃)、大好きな女優さんで極道の妻たちにも出ていらっしゃるのに、
最後は上林に撃たれておしまいっていう雑な扱いに思えて、残念です。
頭に血が上っている上林にキャンキャン言っちゃ駄目だった、だから撃たれても仕方なかったとは思いました。
安芸新聞の記者高坂(中村獅童)、日岡に張り付いて、ジャーナリスト精神全開のねちっこさです。
上林に日岡やチンタの情報を売ったのかと思っていましたが、
彼は日岡からの情報で警察の闇をあばきました。
「よくやった。」と褒めてあげたい人です。
ラストはコンテナ倉庫みたいな
人がいない場所で
日岡と上林のタイマン勝負です。
死神に憑りつかれているからなかなか死ねないと言っている通りの上林も日岡が始末してくれました。
右手の親指が無くなっても刀を手にぐるぐる巻きして固定してくとことか
日岡が上林のお腹を刺すのだけれど、それをぐぐぐっと奥に刺してからの左側にスライドさせるとことか
もう普通は死んでますからってとこで、パトカーが来て、上林は逮捕されます。
それを日岡が嵯峨の拳銃でバンバンバーンって撃っちゃう。
嵯峨が「何やってくれちゃってんの。」ってマジギレして
日岡にマウントで殴りかかってしまいます。
警察官が何人も集まって、剥がすシーン最高、
めっちゃ面白かったです。
まとめ
深作欣二監督の仁義なき戦いで育ち、
極道の妻たちで青春時代を過ごし
北野武監督作品で時を繋ぎ、
白石和彌監督でまた昭和を思い出した気がします。
昭和はまだ身近だった極道の世界ですが、現代は知り合いになってもいけないそんな遠い世界になりました。
私の父は昭和11年生まれ(1936年)で
一回り以上年の離れた兄貴、伯父 大正生まれ(多分1920年代生まれ)のところに遊びに行くと
背中いっぱいに刺青した人がいました。
少したってから教えてもらったのだけど、
伯父は軍隊で一緒だった仲間って言ってました。
伯父は浅草の仲見世の裏に住んでいたのだけど、
ちょい前は極道っていっても普通の家にも行き来していておおらかだったなと思います。
知り合ってはいけないと思うけど
なんか憧れてしまう世界なんだな。
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