イケてる親父だったゲゲ郎こと目玉の親父がどうして目玉だけになったのかわかった。
昭和31年の日本を舞台に物語は作られた。
時代背景も面白かった。
ゲゲ郎が身を挺しても鎮められなかった狂骨を鬼太郎がやっつけていく(鎮めていく)、
鬼太郎は人間を守る妖怪なのが理解できた映画だった。
当主 龍賀時貞公の遺言書
長男時麿を当主ととして指名する。
養子に時弥を迎え、時弥成人後は時弥を当主とする。
龍賀製薬の社長は克典とし、会長に長女乙米を任命する。
その夜、龍哭(りゅうこく)が起こる。
お籠り(各人が個室に閉じこもる)の夜、長男時麿が何者かに殺された。
よそ者(ゲゲ郎)が捕まる。
その咎(トガ)を払うとその物は一命と取り留める。
あらすじ①
龍賀製薬を牛耳る時貞公が死去した。
帝国血液銀行の水木は出世のため、哭倉村を訪れる。
そこには龍賀製薬の秘密が隠されていた。
水木
戦争で命拾いをしている。
上官が下の者に理不尽な暴力を働くことや勝ち目のない戦いに玉砕してくるよう命令をされたことを経験し、運よく帰還した。
日本を成長させるため、休まなくても働ける薬があるとの噂を聞いていた。
その謎を探る社命を自ら名乗り出た。
単身、龍賀に乗り込む男気?がある人物。
野心家。
ゲゲ郎
幽霊族の生き残り。
本名不明。
ゲゲ郎とは水木が鬼太郎の親父さんに名付けた名前である。
運悪く、長男時麿が何者かに殺された後に村に入り捕まってしまった。
ゲゲ郎は行方不明の妻を探しにきた。
村でビビビッと妻の何かを感じたらしい。
長男 時麿
白塗りの顔が気持ち悪い。
遺言で跡取りに指名されたもののすぐ何者かに殺された。
長女 乙米(おとめ)
遺言では龍賀製薬の会長となり、
夫の克典は社長。
娘に沙代。
龍賀の女性は時貞公の慰み者になることから、母親も娘もその対象である。
克典の影は薄い。
乙米は龍賀家を時貞公に代わって一時牛耳る勢いだった。
もしかしたら、沙代は乙米と時貞公の間の子どもかもしれない。
その沙代をも慰み者にするとは時貞公が恐ろしい。
そりゃあ、水木も吐くわけだ。
夫克典が美しい娘沙代を水木にくれてやるというのもこういう背景があるからだとわかる。
二女 丙江(ひのえ)
村を出たが、家に連れ戻される。
時貞公の慰み者というころから丙江は時貞の物という扱いで連れ戻されたと思う。
アルコール依存症。
沙代が水木に好意を持っていることを知ると、阻止しようとする。
いじわるをする。
父親に人生を狂わされた犠牲者のひとり。
二男 孝三
龍賀家の秘密を知り、その過程で幽霊族の女性(ゲゲ郎の妻)に恋してしまった。
許されないことなので、心を破壊され、記憶を抹消されてしまうが、女性の顔は忘れず、絵に描いていた。
時貞の妻は物語には出てこない。
としこの息子には時弥と時がつくのにこの人はついていない。
もしかすると時貞公の息子でないかもしれない。
三女 としこ
子に時弥。
おどおどしている。
遺言書により、時弥が成人したら、当主になるとのことで
ちょっと強気になる。
時弥は時貞公の子どもであることが濃厚だと思う。
時がついている。
長田(おさだ)幻治
としこの夫で村長。
なぜか、長女乙米にこき使われている印象あり。
龍賀製薬は哭倉村の村民をあくどい仕事で囲っており、
村長を三女としこの夫とすることで、それを強固なものにしたと思う。
裏鬼道を名乗っていて、怪しい術を使っている。
オン
って言ってました。
龍賀製薬
乙米によると
幽霊族の血は直接人にうつと、
その人は生きたまま屍人(しかばね)になってしまう。
屍人から取った血を精製して、「M」を作っている。
Mとは不眠不休で働けるようになるという噂の薬
狂骨
人の怨念から生まれる妖怪
哭倉村の湖に浮かぶ小さい島のあなぐらの中にぐるぐると漂っている。
あらすじ②
水木は沙代に東京に連れていってくれと頼まれるが、
ゲゲ郎を救いにいき、戦うことにする。
龍賀一族を次々と殺していたのは沙代だった。
それと村のおぞましい真実を知ることとなる。
ゲゲ郎と水木は禁域であるあなぐらへの扉を開け、奥へ急ぐ。
そこには時弥の身体を乗っ取った時貞がいた。
ゲゲ郎は血を吸って赤く咲く桜の根元から浮き上がってきた妻と対面した。
妻から身籠っていることを知らされる。
時貞はそれを聞き逃さず、その子どもも龍賀のものにしようとする。
すでに倒れていた水木は立ち上がり、狂骨を制御していた骸骨のつぼみたいなものをぶっ壊す。
狂骨は放たれてしまったが、
ゲゲ郎はまだ見ぬ子に会いたいと
狂骨を一身に引き受けてしまうのであった。
ゲゲ郎の身体は崩れていくように見えた。
とりあえず、終わった。
あらすじ③ エンドロール
水木は助かったが記憶を失くしていた。
人魂に導かれて廃墟に行くと、身体が溶けた男(包帯を身体中に巻いている)と化け物のような女に驚く。
再度訪れると夫婦は死んでいた。
女だけを埋葬する。
(多分男は溶けていた。)
そうしたら、その土の中から赤ん坊が這い出してきた。
水木は赤ん坊を抱きあげ、石にぶつけようとする(殺そうと)も、カランと下駄の音がよみがえる。
赤ん坊を抱きしめる水木であった。
(鬼太郎誕生)
溶けた遺体から目玉だけが生き残ったようだ。
これが後の目玉おやじであると思われる。
水木しげる
漫画家
1922年3月8日(なんと大正11年生まれ)
1943年召集され、軍人として第二次世界大戦ラバウル出征
アメリカ軍オーストラリア軍の攻撃で左腕を失う
紙芝居作家を経て、1658年貸本漫画家としてデビュー
93歳没
感想
不眠不休で働けるようになる薬Mは
実際薬局で売られていたヒロポン(覚醒剤)を置き換えているのかと思いゾゾゾとします。
ヒロポンが売られていた話は昭和11年生まれの父から聞きました。
この物語は昭和31年当時の東京をモデルにしているそうですが、まだ売血もあった時代ですね。
売血:自らの血液を有償で採血させる行為。日本では1950年代から1960年代半ばまで輸血用血液の大部分を民間血液銀行が供給していました。
今では、善意の献血というシステムで賄われていたり、
アメリカなど売血が行われている国から血液製剤の原料血漿が輸入されているそうです。
妖怪には会ったことはありません。
幽霊族は優しすぎて人間に居場所を奪われても恨んだりせず、どんどん地下に追いやられてしまいました。
そしてその血は一旦屍人にはしてしまうけれど、不眠不休で働けるほどの薬になってしまうなんて、恐ろしいことです。
(人魚の血も怪我を治したりできると伝えられていますから、世界中に似たような物語はあるのだろうと推測されますし、
疲れない身体、不老不死は憧れですものね。実際ひとりで生き残ってもつまらない人生になるらしく、そういう内容の物語もあります。)
水木しげる先生は大正生まれということで終戦後の日本を目の当たりに見られていらっしゃるかと思います。
もしかしたら、妖怪もその頃は多かったのかな。
ゲゲ郎は狂骨と戦い、身体がぼろぼろになりました。
日本国民は長崎と広島で大勢の方が原爆投下の犠牲になりました。
原爆資料館には身体が一瞬で溶けてなくなり、コンクリート塀に人の焼け焦げた黒い跡だけが残っている写真等もあります。
水木しげる先生の原作も参考にしているそうですが、物語は完全オリジナルだそうです。
2回観ましたが、楽しめる映画でした。
お読みいただきありがとうございました。
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