HERMÈS【2025年9月】燃ゆる女の肖像 年間テーマはドローイング~描く~18世紀の女性は誇り高く美しい。胸が張り裂けたラストシーン。今でもあなたを愛しています。

エルメス

燃ゆる女の肖像

誇り高く美しい登場人物の女性たち。

ラストシーンは胸が張り裂ける愛を感じた。

今でも貴女を愛していると観ている私に感動を与えた。

銀座メゾンエルメス10階にある小さな映画館Le Studioにて燃ゆる女の肖像を観てきた。

登場人物

エロイーズ:アデル・エネル

マリアンヌ:ノエミ・メルラン

ソフィ:ルアナ・バイラミ

伯爵夫人:ヴァレリア・ゴリノ

監督:セリーヌ・シアマ

*監督とエロイーズ役のアデルは以前恋人同士だとネットにあった。

あらすじ

18世紀。フランス、ブルターニュ地方の孤島が舞台だ。

望まない結婚を目前に控えた貴族の娘と

彼女の肖像画を描くことになった女性画家。

2人の女性が恋に落ちる様子と別れを美しく描いている。

詳しいあらすじ①

女性画家のマリアンヌは自らがモデルとなり

女性たちにデッサンを教えていた。

生徒が持ち出してきた自分の古い絵を見て、

彼女は過去を思い出していた。

1770年、マリアンヌは伯爵令嬢の肖像画を依頼されて、

ブルターニュ地方の孤島を訪れるために舟に乗っていた。

(マリアンヌの性格がよくわかるシーンだ。)

舟は波で大きく揺れていた。

マリアンヌの画材が落ちるが舟の男は手助けをしない。

(そういう時代なのだろうか)

マリアンヌは海に飛び込み、画材を拾うのであった。(勝気な自力してる女性だ)

孤島に到着したが、舟を漕いでいた男は荷物をドサッと砂浜に投げた。

マリアンヌは画材と荷物をかつぎ、屋敷を目指した。

女中のソフィに居間で服を乾かすように言われ、

マリアンヌは裸になり、暖炉の前で一服する。

お腹が空いたので勝手にキッチンでパンやチーズを出して食べてしまう。

ソフィが気がつき、ワインを出してくれた。

そこで嫌なことを聞いてしまう。

肖像画のモデルの伯爵令嬢にはお姉さまがいて、

彼女が元々はミラノの貴族に嫁ぐはずだった。

しかし、彼女はそれを嫌がり崖から飛び降りて死んでしまったのだ。

令嬢は修道院にいたのを呼ばれ、城に閉じ込められていた。

詳しいあらすじ②

翌日マリアンヌは伯爵夫人と会話する。

肖像画のモデルとなるエロイーズは前の画家には姿を見せず、結局画家は断念し帰ってしまった。

マリアンヌには散歩の相手をし、令嬢を観察し肖像画を描いて欲しいという注文をした。外出禁止にしたので、喜んで散歩に行くだろうということだった。

最初の散歩、エロイーズはひとりでどんどん歩いて行ってしまう。

印象的なフード付きのコートだ。エロイーズは途中から走り出した。

マリアンヌはソフィから崖から落ちた話しを聞いていたので、慌てて追いつこうとした。

(初対面はさんざんだった。)

エロイーズは走ってみたかった。

と言った。

自然の美しい景色が広がる。

マリアンヌはエロイーズをチラチラと見て、彼女を観察した。

エロイーズも見られていることに気づく。

エロイーズはマリアンヌに本を貸してくれと言う。

(エロイーズは自由にやりたいことをやろうとする女性だと感じる。)

マリアンヌは暖炉の火の前で

デッサンしたエロイーズを並べたり、

記憶の中の彼女を思い浮かべて肖像画を進めた。

詳しいあらすじ③

ソフィが

エロイーズが散歩に行くからと迎えに来た。

風が強いからと鼻と口元をスカーフで巻いた。

エロイーズとマリアンヌ、

2人とも目の印象が際立つ。

話す時はスカーフを外す。

エロイーズは海に入りたいと言った。

泳いだことがないと言った。

海辺で

エロイーズがひとりになっている時、マリアンヌは肖像画のためにスケッチをした。

ある日の散歩。

マリアンヌはエロイーズのお姉様は自殺なの?と聞いてしまう。

単刀直入に聞かれ驚くエロイーズだが、不敬には思ってはいないようだ。

姉からの最後の手紙には

許してと書いてあったと答えた。

マリアンヌは結婚は一生しないかも

と言った。

エロイーズは自分の気持ちは選べる人にはわからないと言った。

(エロイーズの母親はミラノからこの孤島に来たらしい。肖像画はマリアンヌの父親が描いたものだ。自分より早くここに着いていたということから、伯爵令嬢の結婚は自分では相手を選べない絶対服従のものなんだと思う。)

修道院にいたエロイーズは娯楽を知らなかった。

詳しいあらすじ④

マリアンヌは肖像画を完成させた。

伯爵夫人にはまずエロイーズに見せたいと伝えた。

エロイーズはこれは私ではない!と言った。

マリアンヌは

規律 しきたり 観念が支配していると答えた。

そして、

エロイーズ自身は束の間現れても消えてしまうと。

消えないものや深い感情もある

エロイースは憤った。

この絵は私ではない。

絵の何がわかるのか!マリアンヌも言い返した。

ひとりになった時、

マリアンヌは肖像画の顔の部分を布で拭いて駄目にしてしまった。

伯爵夫人は怒ったが、5日間留守にする間に完成させることで納得した。

エロイーズがモデルになることを提案したのだ。

エロイーズは椅子に座り、マリアンヌを見つめ

モデルになる。

詳しいあらすじ⑤

ソフィが妊娠した。

エロイーズとマリアンヌは

ソフィを自然流産させるために

砂浜を走らせたり、

何かの草を煎じて飲ませたり、

高いところにぶら下げたりした。

エロイーズはマリアンヌに経験の有無をたずねた。

マリアンヌはあると答えた。

その夜、

疲れ果てて、ソフィとエロイーズは寝てしまったようだ。

マリアンヌはエロイーズの寝顔をスケッチする。

翌日、エロイーズの笑顔がないから描けないと言った。

マリアンヌはエロイーズの表情の癖を話し、

エロイーズもまたマリアンヌの癖を話した。

マリアンヌが見たエロイーズ:動揺すると顔に触れる、

困惑した時は唇を噛む

苛立つとまばたきが減る。

エロイーズが見たマリアンヌ:困ると額に触れる

怒りを感じると眉が上がる

戸惑うと口で息をする。

伯爵夫人のいない屋敷では女性3人が身分を無くし、食事をする。

そこでオルフェウスの物語をエロイーズが読んだ。

3人はそれぞれの感想を語り合った。

村のお祭りを訪れた。

ソフィは村の女におろすことを頼んだ。

村の女の唄がとてもいい。

炎を挟んで2人は見つめあう。

焚き火がエロイーズのドレスに飛び火して、

慌てて村人が消してくれた。

エロイーズはドレスに飛び火してもまっすぐマリアンヌを見つめていた。

詳しいあらすじ⑥

2人が初めてキスをするシーンは印象的だ。

いつもの散歩で洞窟の入り口で短いキスをした。

エロイーズは先に帰ってしまう。

そして食欲がないからと夕食には現れない。

マリアンヌはエロイーズの幻を見るようになった。

白いドレスを着ている。

部屋に戻るとエロイーズが立っていた。

2人は結ばれる。

自然だった。

翌朝、ソフィの堕胎の付き添いに行った。

目を背けるマリアンヌに

エロイーズはしっかり見るように言った。

エロイーズは屋敷でソフィの堕胎の絵をマリアンヌに描かせた。

詳しいあらすじ⑦

モデルになっている時、

エロイーズは自然に笑みがこぼれてしまう。

マリアンヌに怒られた。

マリアンヌはエロイーズに近づき、キスをする。

愛し合っている2人だ。

お祭りで買った時間が伸びるクリームを脇の下に伸ばす。

(軽い麻薬の一種かと思う。)

マリアンヌはまたエロイーズの幻を見る。

口移しでエロイーズに水を飲ませた。

2人の蜜月が伝わってくるシーンだ。

ここで3人が感想を話し合った神話を読んでください。↓

オルフェウスとエウリュディケの神話

オルフェウスが結婚してまもなく妻のエウリュディケが毒蛇に噛まれ、死んでしまいます。

どうしても彼女を忘れられないオルフェウスは

冥界から彼女を連れ戻すために「冥界下り」を決心します。

冥界の入口の番犬ケルベロス(3つの頭を持つ怪物)や

三途の川の渡しであるカロンに出会うと

オルフェウスは妻を亡くした悲しみを竪琴の調べにのせて聞かせます。

彼らはオルフェウスを通してくれました。

冥界の王ハデスと女王ペルセフォネの前でも竪琴の演奏をすると

その音色に感動し、

エウリュディケを地上に戻すことを許してくれました。

ハデスはオルフェウスに注意事項を言い渡しました。

冥界を出るまでは後ろを振り向いてはいけない

というものでした。

暗い冥界の道を先にオルフェウス、続いてエウリュディケが歩いていきます。

もうすぐ出口をいうところで

オルフェウスは不安になり振り向いてしまいました。

約束を破ったため、エウリュディケは再び冥界へ連れ戻されてしまいました。

妻を永遠に失ってしまいました。

あなたはこの物語をどう思われますか?

詳しいあらすじ⑧

別れが近づいていた。

マリアンヌが

エロイーズの肖像を小さいロケットに描いていると

エロイーズもそれを欲しがった。

マリアンヌは

書籍の28ページに自分の裸体を描く。

鏡をエロイーズの股間に置き、

自分で自分を、

自分の肖像を描き、身体はエロイーズのものだ。

伯爵夫人が戻ってきて、

マリアンヌは肖像画のお代をもらう。

マリアンヌの役目は終わった。

伯爵夫人はエロイーズにお土産があると連れていってしまった。

最後のお別れなんてできないのだ。

マリアンヌが屋敷を出る時、

エロイーズが振り向いて!と呼んだ。

彼女が振り向くと何度も幻想に出てきた白いドレスを着たエロイーズが立っていた。

詳しいあらすじ⑨

マリアンヌは華やかな展覧会を訪れた。

そこで、エロイーズと小さな男の子の肖像画を見つけた。

エロイーズの右手には書籍があり、その指は28頁をチラリと見せていた。

そしてまた別の夜、

マリアンヌはコンサートを訪れる。

エロイーズを見つけた。

曲目はマリアンヌがピアノで少しだけ弾いて

オーケストラは語れないと言ったそのものだった。

(ビバルディの四季 夏)

日本の天才「HIMARI」さんのヴァイオリン演奏でお聞きください。

エロイーズの姿だけが映される。

エロイーズの胸は感動で震え、涙がこぼれた。

見つめるマリアンヌはどんな思いだったのだろうか。

感想 おまけ

中学生の頃、

私は野球部の同級生をいつも見ていた。

休み時間、彼は黒板にスーパーボールをぶつけて、ひとりキャッチボールをしていた。

沢田研二の勝手にしやがれが十八番で

後ろの席で歌っていた。

授業中は寝ていることもあった。

放課後の校庭で部活をしていた。

気づかれないようにしていたから、

思い出の彼は横顔、斜め顔そして頭や手だ。

授業中、顎を手に乗せて黒板を見る彼をいつも思い出す。

別々の高校へ進学したが、

思い切って学園祭に呼んでみた。

彼は来てくれた。

そして、私のクラスでラムネを飲んでくれた。

すぐに受験生になってしまい、

彼は慶応義塾大学に入った。

学祭に呼んでくれた。

それで終わった。

2人とも消極的だったし、

私は積極的に言い寄ってくれる男の子の方が楽になってしまったのだ。

好きな男の子より

好きになってくれる男の子は付き合っていて楽だった。

感想

エロイーズはミラノの伯爵に嫁いだ。

伯爵のことは好きになれなかったかも知れないかれど、

生涯愛する対象がいて

その思い出にひたるのも悪くない。

思い出は美しすぎて、

色褪せることは無い。

自分も愛する対象もその当時のまま、

そんな思いさえ無い人もいるのだから、

エロイーズは幸せなのだ。

エロイーズがオーケストラで

ヴィバルディ四季 夏を聴きながら、感動し、

胸を隆起させながら涙を流すシーンは、最高だった。

お読みいただきありがとうございました。

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