「小さいおうち」黒木華さん日本アカデミー賞最優秀助演女優賞

黒木華さん松たか子さん 映画鑑賞

あらすじ

お葬式から始まります。

どうやら一人暮らしの老人が亡くなったようです。

そして亡くなった老人が住んでいたアパートの片付けが始まります。

壁にかかっている絵が外され、処分物にされます。

赤い屋根のちいさなおうちが書かれていました。

山形の雪深い田舎からタキ(黒木華)は女中として上京します。

最初は小説家(橋爪功)の家に奉公し、次は子供用玩具会社の常務(片岡孝太郎)の家でした。

奥様は時子さん(松たか子)。

若くてお綺麗です。

タキが一生懸命仕えるので時子さんもタキを可愛がります。

時子は

ご主人の会社にデザイナーとして入社した板倉正治(吉岡秀隆)と映画や音楽の趣味等が合い、お互い惹かれあっていきます。

板倉が嵐の夜ご主人の伝言を時子に伝えにきます。

同時に男手がなく困っていた窓の補強等もしてくれ泊まっていくこととなります。

夜、玄関のドアがバタバタし怖くなって、板倉を起こしにいく時子。

板倉が重い靴箱でドアを抑え、2人は暗闇でキスしてしまいます。

昭和10年、若い男性はみな召集令状が出され戦地に赴く時代ですが胸が悪い板倉は免れています。

男性が少ないので会社の発展の為に取引先の令嬢と強制的にお見合いをさせることになりました。

ご主人が時子にお見合いを段取りさせようとします。

仕方なく板倉にお見合いを受けるよう勧めるのですが、板倉はあなたにこういうことを言われるとは思わなかったと突き返します。

会社のためにお見合いを成功させたいご主人は時子をけしかけ、

時子は

タキと一緒に下宿先にお見合い写真を持って訪れます。

タキを先に帰します。

その日、奥様の帯の柄が左右反対になっていることにタキは気づきます。

次の訪問は時子ひとりでした。

洋装で行くことが多くなります。

姉(室井滋)がやってきて、知人が時子と板倉が喫茶店に2人でいたことを責めます。

タキに変わったことがあったら教えなさいとクギを指して帰っていきます。

タキも出入りの酒屋さん?から時子が男の下宿に通っていると耳打ちされます。

また嵐の夜、板倉が召集令状を持って平井家を訪れます。

明日の晩には田舎に帰らなければならない板倉にどうしても会いたい時子。

次の日ちょっと出かけてくると言った時子をタキは止めます。

板倉のところに行くのがわかったからです。

トキは

出入りの酒屋さんから聞いた話をし、

私が手紙をお持ちしますので、こちらに来ていただくことにしましょうと提案します。

結局板倉さんは来ませんでした。

戦争は長く続き、トキは田舎に帰るよう言われます。

東京大空襲後、赤い屋根の防空壕で平井夫婦が死んでいるのが見つかったそうです。

物語は平成の現代と昭和10年の行き来をします。

老人になったトキ(倍賞千恵子)が親戚の男(妻夫木聡)から自叙伝を書いてみなよということから始まっています。

トキの荷物整理する中、自叙伝ノートと未開封の封筒が見つかります。

宛名がなく、差出人は平井時子。

本屋で戦争後生き残って、板倉正治は画家になっていたことがわかります。

そこから平井家の息子もまた生きていたことがわかります。

平井家の息子に会いにいき、封書を開けると

トキが板倉に渡しているはずの手紙であることがわかります。

トキは手紙を持って行かなかったのか、会いにだけ行ったのかわかりません。

豪華な俳優

松たか子

倍賞千恵子

片岡孝太郎

黒木華

吉岡秀隆

妻夫木聡

吉行和子

笹野高史

橋爪功

松金よし子

林家正蔵

室井滋

中嶋朋子

あき竹城

私が名前を覚えている俳優さんばかり出演なさっていました。

もれていたら申し訳ございません。

倍賞千恵子(おばあちゃん)と妻夫木聡の関係

大叔母ということで、はっきりわかりませんでした。

感想

おもちゃ会社の常務のお家だから、中流の上というご家庭です。

上流というとまた少し違うと思います。

お手伝いさんもいるけれど、家事は奥さんもやっています。

昭和初期はまだ洗濯機等がない時代ですから、家事は重労働でした。

社長さんからコンサートチケット2枚をいただいていました。

ご主人と行く約束をしていたところ

ご主人は仕事で行けなくなり無駄にすると悪いので

社長にチケットをお返しするという場面があります。

そこで妙にご主人につっかかる時子がいます。

時子はとてもコンサートに行きたいのに、それがわからないご主人にイライラしているという感じでした。

結局時子はひとりでコンサートに行くことにし、1枚だけを社長にお返しすることにします。

その1枚を板倉がもらい、コンサート会場で会います。

板倉が来るのではないかと想像できる演出でした。やっぱりみたいな感じです。

好きなものが一緒というのは話が合うので、惹かれあってしまうのも仕方がないことのように思ってしまいます。

一方で出身地が近いタキも板倉に好きという感情を抱いていたのではないかと推測されます。

板倉は芸術家で物腰が柔らかく、子どもにも優しいです。

物語がタキの語りであるので、その感情は伝えられてはいません。

ただ、時子(奥様)の帯の柄が行き帰りで変わっていたことやそれから板倉の下宿先に行くときは洋装になったことなどを女性目線でするどく観察しています。

召集令状が板倉に届き、最後の日板倉の元に行こうとする時子を止めるタキ。

下宿先に行ってしまうと出入りの酒屋さんにもばれているので時子の立場が悪くなることを心配していたのは本当だと思います。

時子が板倉の下宿に行くのではなく、平井家に来ていただいた方が自然だからそのように手紙を書いてくださいとお願いします。

タキは出かけたけれど、晩年手紙は渡されてなかったことがわかります。

時子は待っていたけれど、板倉は来ません。

そして板倉と時子の関係を知っていたタキに対して、それまでとは同じ接し方ができなかったと思います。

冒頭部分で赤い屋根のおうちが描かれた絵が捨てられてしまいます。

あの絵があることから

タキは戦争後しばらくしてから板倉に会ったということがわかります。

ここは推測なのですが、手紙は渡さなかったけれどタキは板倉のところには行ったのでしょう。

もしかしたら、生きて帰ってきたら連絡をくださいと自分の田舎所在地くらいは言ったと思います。

時子から手紙を預かったことはその日も戦後にも言わなかった、言いたくなかったと思います。

「私は長く生きすぎてしまった。」とタキは泣きました。

タキは生きていく中、

だんだんと自分の気持ちが整理でき、あの日手紙を渡さなかったのは時子(奥様)のためではなく

自分のため、渡したくなかったということに気づいたのではないかと思います。

愛し合う板倉と時子の最後を邪魔をしてしまったという後悔を抱えて泣いてしまったのだろうと思います。

赤い屋根のおうちの絵はもらったのではなく戦後漫画で有名になった板倉のことを知り、購入していたとも仮定できます。

それでもやはり手紙を渡さなかった後悔とその絵を見て板倉のことを思い出していたかもしれません。

戦争中はこのような苦しい恋はたくさんありました。

タキの恋は成就しませんでしたが、愛する人が戦後も生きていたことがなによりだと思います。

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