「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ」松たか子・浅野忠信・広末涼子・妻夫木聡

浴衣の女の子 映画鑑賞
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あらすじ

小説家の大谷(浅野忠信)は家庭をかえりみず、好き勝手やっています。

妻の佐知はお金のために中野の小料理屋椿屋で働き始めます。

生き生きと働き、より美しくなっていく妻に嫉妬を覚えます。

ですが、素直になれず、他の女(広末涼子)と心中未遂を起こします。

ふたりの行く末が心配ながらもまた夫婦としてやっていく姿が映り、終了です。

監督:根岸吉太郎

原作:太宰治

感想

椿屋の主人(伊武雅刀)と女将(室井滋)がいい味を出しています。

冷やは一升瓶から直接コップについで、熱燗は徳利でおちょこについで。

熱燗はおおきなやかんに徳利を沈めて温めています。

そういう細かい描写が素敵です。

佐知はカフェで働いているとき、司法試験合格を目指していた貧乏な学生(堤真一)が好きでした。

寒そうな彼にマフラーをあげたくて、百貨店で万引きをしてしまいます。

それを助けたのが大谷健治で、学生は見ぬふりをして去ります。

大谷は小説家でそこそこ売れているにもかかわらず、

家庭をかえりみず暮らしています。

献身的に支える妻を松たか子さんが見事に演じてらっしゃいます。

昭和21年12月、そんな女性がたくさんいらしたのかもしれません。

パジャマ代わりの白紺地のゆかた姿もお似合いです。

明治生まれのおばあちゃんがそれをよく着ていたので懐かしく感じました。

まだ女性が働くところもなかった時代でした。

小説が売れたお金を家に入れず、借金までしているものですから、椿屋で働き始めたのです。

大谷のせいなのに、そんな妻を見るといい気持ちはしないのです。

男のやきもちです。

現代でもありそうですね。

お店のお客と浮気をしているのではないかと疑います。

妻を遠回りして送る年下の工員(妻夫木聡)を家に連れてきて

飲ませ、泊まらせます。

大谷は妻が

工員に求愛されているところを見て、逃げ出してしまいます。

どんだけ気が弱いのか、問題から逃げるのが得意なのか突っ込みたくなります。

そして、飲み屋の女(広末涼子)と睡眠薬心中をはかり、失敗します。

ヒロスエがロングヘアの和服で素敵です。

大谷に殺人容疑がかかり、

佐知は弁護士(堤信一)に頼みます。

お金がないことを伝え、

弁護士事務所から出てくるとき、微妙に着物が着崩れて,艶っぽくなっています。

なんとも言い難いシーンです。

そしてお見事と感じたシーンでもあります。

弁護士事務所に入るとき、パンパンの方から赤い口紅を譲ってもらうところがあり、決意を感じます。

注:パンパン(戦後混乱期の日本で在日米軍兵を相手にした街娼)

椿屋に戻ると、大谷がいて

佐知は

人に言えないことをしてきた

と言います。

外で、大谷の手のひらからさくらんぼを取って食べ、そこが最後のシーンです。

ふたりは今後も夫婦なんだろうなとイメージさせる終わりです。

戦後は女性が働くところもないし、その日生きていくのに精一杯だったはずです。

大谷みたいな人でもたまにお金持ってきてくれればそれでよしとしたのかなと思います。

他に選択肢がないので、潔かったのかもしれません。

夫婦の情愛は他人にはわからないところもありますから。

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