登場人物
原田智:佐藤二朗
原田楓:伊東蒼
山内照巳:清水尋也
ムクドリさん:森田望智
楓の同級生、花山:石井正太朗
あらすじ①
冒頭部分、
どこかの庭
智はトンカチを持って何かの練習をしている。
そして、大阪の町を楓が走るシーンになる。
楓は原田智・父親が万引きしたので、身元引受人としてスーパーへ向かう。
智はお金が20円足りず、万引きしてしまう。
智は帰りの道路際でおにぎり・ビール・味噌汁をくっちゃくっちゃ、音をさせながら食べる。
そして、娘の楓に
「父ちゃん、指名手配犯を電車の中で見た。」と言ったのだ。
あらすじ②
暮らしぶりから生活が豊かでないのがわかる。
智と楓の親子関係は良好に見える。
翌朝、智はいなくなっていた。
連絡もつかず、心配する楓。
そんな時、
同級生の花山は楓に告る。
花山と一緒に日雇い労働を斡旋する場所に行く。
智を探しに工事現場に行くが、
原田智の名前で違う若い男が働いていた。
あらすじ③
智のいなくなったことを心配し
担任がチラシを作成してくれ、配っていたところだった。
智から
「元気にやっているから探さないで。」とメールが来る。
楓は半狂乱になって怒る。
指名手配犯の隣に貼っておいた智のチラシを剥がす時に
工事現場の男が指名手配犯、山内照巳に似ていることに気づき、
以前卓球場として借りていた場所のパソコンで調査をする。
山内照巳はたくさんのアカウントを持っている。
楓は原田智の名前で工事現場で働いていた男、山内照巳を探しに行く。
工事現場では外人作業員に
「あいつは気持ち悪かった。人間の目じゃない。何かに憑りつかれている。」
近づくなと注意される。
担任から養護施設のシスターを紹介されるが唾を吐きかけて逃走する。
警察は何もしてくれないし、担任も信用できない。
凹んだ楓は
また卓球場に行き、母親がここで自殺したことを思い出していた。
(楓は母親の自殺現場は見ていないとわかる。そもそも母親の病気を理解していたのか、智とともに介護の手伝いをしていたのかも不明。母親はALS)
人の寝息が聞こえた。
それは
山内照巳だった。
彼と対決するが、逃げられてしまう。
戦利品として、山内のはいていたスエットが残った。
山内のスエットのポケットには
果林島から来たことを示す切符(使用済)と携帯があった。
携帯の待ち受け画面は智と楓の2ショットであることから、楓は智のだとわかる。
花山を伴って、
果林島に行くことにする。
花山は島に行くことを嫌がったが楓がおっぱいを見せることで、合意した。
その場面を智は偶然見てしまう。
智は山内へムクドリさんを渡すため、卓球場を訪れたのだが、
鍵が開いていたことで、不審を感じこっそりと入ってきたのだ。
楓と花山は島で智を探すが全く見つからない。
パトカーのサイレンがし、そこに走っていくと
智がいたらしい。
「おとうちゃん、おとうちゃん」と叫ぶ楓。
あらすじ④ 13か月前
智には難病ALSの妻がいる。
筋萎縮性側索硬化症とは
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていく。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通。
ALSの特徴として、進行性なのでよくはならない。
なので、介護する家族は大変だし、病人本人は大変辛い。
智は
妻がなんとか死のうとする姿を目撃する。
失敗に終わる。
妻の携帯のつぶやきを見たら、泣いてしまった。
介護職員に相談にのってもらい、
智は卓球場で妻を自殺に見せかけて殺してもらう。
妻は死ぬ時、泣いていた。
息を引き取った後、男は死体に白いソックスをはかせ、自慰をした。
20万と言われ、お金のない智は免許証を預ける。
妻 kimiponのつぶやき
生きることは法律で守られているのに
私の気持ちは尊重されへん。
夫もヘルパーさんも主治医もみんな別の生き物に見えてくる。
呼吸器なんて私はつけたくない。
早く楽になりたい。
安楽死できるスイスがうらやましい。
段々身体が動かなくなるのに
今後のことを考えてくださいと言われても
何を考えたらええのん?
行きたくないのに生かされ続ける身にもなってみい。
もっと安心して介護できる社会をつくらないと
障害者だけが辛い。
「してあげてる」「してもらっている」から
感謝しなさいって、
私だってなりたくてALSになったわけじゃない。
今すぐ死なせてもらいない苦しさを
誰もわかってくれへん。
常に身体的は不快感を抱えながら
暮らしている身にもなってみい。
まだ家族と話せる状態で死にたい。
今、楽になりたい。
人もまんま死にたい。
あらすじ⑤
病院の屋上、
智は介護職員の男に20万を渡す。
仕事を手伝ってくれと言われる。
死にたい人を助けてあげる仕事だと言う。
奥さんも死ぬ時笑っていたと嘘をつく。
智の渡した20万を
これくらいは渡せると思うと言って渡す。
智は死にたい人らと携帯で連絡を取る係になったようだ。
実際に殺すのは男だ。
男からお菓子と一緒に現金が送られてくるが、最初と話が違い、少額なので文句を言う。
死にたい人間が若いとお金を持っていないので、仕方がないと男は答える。
ゴミがたくさんあるどこかの海辺。
男が死にたい女、ムクドリさんと座っている。
ムクドリさんはメッセージのやり取りをしている時と今の男と雰囲気が違うと言う。
最後に海が見たかったようだ。
そして、廃アパートの一室で首を絞めようとしたところ、
ちょうど人が来てしまい、逃げるはめになる。
その部屋には死体もあったようで、大問題になる。
男は果林島に逃げたようだ。
果林島では島の独居老人と仲良くなるが、殺してしまう。
老人の頭部をバケツで隠し、白いソックスをはかせ、自慰をする。
男は動いている女は駄目とか言っていて、老人は縛られた女が好きだと勘違いする。
(結構面白いシーンだ。)
風呂でバラバラにしてしまう。
智、
工事現場での休憩中、
介護職員の男が、山内照巳で、指名手配されたことを知る。
智は追い詰められた。
何か計画を思いついたようだ。
そして、楓の前から失踪する。
あらすじ⑥ 3か月前
指名手配された山内を隠すため、
自分の名前を語り、日雇い労働し時間とお金を稼ぐよう提案する。
少し疑う山内だったが、その案にのったようだ。
卓球場で寝泊まりし、
原田智として工事現場で働きつつ、自殺幇助もする。
そんな中、ムクドリさんから再度のお願いをされる。
智は果林島にいる山内を大阪に呼び出す。
ムクドリさんは投身自殺を失敗しており、車イス生活者になっていた。
山内は卓球場でムクドリさんと智が来るのを待っていたところ、
先に楓に見つかり、追いかけられ、携帯と島からの切符を見られる。
楓から逃げた後、
山内は智に公衆電話から連絡を取り、果林島に呼び寄せるのであった。
あらすじ⑦
山内照巳が最初に島へ。
智とムクドリさんは山内がじじぃの家に案内しているシーンもあるので、その次に島へ。
多分同じ日の違う便で楓と花山も到着していると思われる。
智・ムクドリさんが着くと、山内は智を見張りに立てて、すぐにムクドリさんの首を絞めて殺す。
山内は死んだムクドリさんの足に白いソックスを履かせて自慰をしようとしたところ、
智が
誰かが来ると言って、山内にナイフを渡す。
自然な感じで山内はナイフを受け取るが、智にトンカチで叩かれ、倒れる。
なんだか笑っているように見える。
智と飲もうと思っていたであろう缶ビールがクーラーボックスからこぼれる。
今度は智が自分の腹を刺す。
痛そうだが、もう一度刺す。
そして、自作自演の110番通報をした。
ムクドリさんが生き返る。
智はベルトでムクドリさんを締める。
ムクドリさんは笑っていた。
気を失っていたところ、警察が来る。
楓も来た。
捜査の結果、怪しいところはないとされたようだ。
あらすじ⑧
褒賞金をもらい、
卓球場を再開したようだ。
智はレジを修理している際に
山内の手伝いをしていた時のハンドルネームを見つけて、アクセスしてしまう。
そこには殺して欲しい人がメッセージをくれていた。
そして通天閣で待ち合わせをする。
待ち合わせ場所に楓も後から行く。
楓は智の姿を確認している。
あらすじ⑨
智と楓は卓球のラリーをしている。
小気味よい卓球の音。
楓は智のやったことを確認していた。
智はメッセージを出したのが楓だとわかった。
パトカーのサイレンの音が遠くでする。
「迎えにきたで。」
楓が言う。
少したつとパトカーのサイレンはもっと近くから聞こえる。
考察と感想
「迎えにきたで」
これは大阪人がパトカーのサイレンが聞こえると冗談で言うらしい。
なので、楓が通報していたかどうかはわかりません。
逮捕されるシーンはありません。
お父ちゃんが逮捕されてしまったら、楓は児童養護施設に入れられてしまうでしょう。
親が犯罪者というのは一生ついて回ります。
でも、
お父ちゃんは逮捕されて罪を償うのが一般的です。
果たして、楓はどうしたのか。
観ている人が自由に想像できるようにしてくれたのでしょう。
お父ちゃんはお母ちゃんのことで、人間が変わってしまいました。
お母ちゃんの介護に関しては、娘の楓がかかわっている映像はありませんでした。
智はだんだん身体の自由がきかなくなる母親をあえて見せなかったのかもしれません。
母親もそれを希望していたかもしれません。
排泄介助されるのは認知症でもない限り相当辛いと思います。
厄介な病気です。
ALSという病気は身近ではないですが、
メディア、ドラマや映画ではよくみかけます。
先日観た「寝ても覚めても」でも友人がALSにかかっていました。
ドラマで有名なのは沢尻エリカさん主演の「1リットルの涙」です。
山内照巳のような人間は一部で存在していると考えます。
戦争では大義名分を自分らで作り、人殺しをするのですから、
時代が違えば、危なかったと思います。
山内照巳が言っていた「本当に死にたい奴なんていなかった。」は
心に響きますね。
身体の自由がきかなくて、ただの肉になってしまっていても、生きたいと思うのかどうかわかりません。
日本に安楽死という選択がなく、苦しんでいる人は大変なのではと思うけれど、
簡単には決められない問題です。
お読みいただきありがとうございました。
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