和歌山カレー事件⑥ マスコミは何を伝えたか 追跡・和歌山カレー事件報道/佐藤友之著を読んで

カレーライス 生活・暮らし・家族

私達は犯罪が起きるとマスメディアから情報を得ます。

間違っていたとしても、信じてしまいます。

和歌山カレー事件の報道では、

犯人は林眞須美ということで間違いがないというような風潮になっていました。

警察が捜査して、捕まえるのだから間違いがない、

検察や裁判官が林眞須美が犯人だと言っていて判決を下したのだから、間違いがないと思いました。

1998年7月25日、和歌山カレー事件があった日から25年が経ちました。

私は

当時の資料や

林眞須美死刑囚の再審請求の件等を調べると

彼女は無罪なのではないかと思いはじめました。

この本の著者は林眞須美死刑囚が犯人かそうでないとかは追及していません。

7月25日からマスコミ報道は何をやっていたのか、

取材に基づいた報道が正確になされているのかを

当時の新聞や雑誌を精査しながら、解説してくれました。

あらすじと感想

朝日新聞・毎日新聞・読売新聞・産経新聞・スポーツ紙、

週刊誌文春や新潮の記事内容のおかしい点などを丁寧に解説し分析してくれています。

内容に目新しいものはありませんでした。

1998年7月25日が夏祭り、カレー事件の当日です。

逮捕までの間、マスコミは林夫婦を第三者といって、林家の前に張り付きました。

1998年10月4日の早朝に林夫妻は最初保険金詐欺で逮捕、勾留されます。

逮捕容疑は

1985年11月に20代の元従業員が脳出血で死亡し、その保険金2500万を受け取っていたということと

1986年10月家族(林眞須美死刑囚の母親)が白血病による脳出血で死亡、保険会社4社から保険金1億3000万円を受け取っていたことでした。

元従業員の保険掛け金を林夫妻が払っていたので、

受取人になっていた親族に保険金を渡さなかったことで、訴訟を起こされ、保険金を折半することで和解が成立していました。

何でも和解が成立しているということは裁判で判決が出たのと同じ意味なので、

今さら、蒸し返すことはできないのに、逮捕されてしまったのはおかしいということでした。

白血病で死亡したのは林眞須美死刑囚の本当の母親です。

林眞須美死刑囚は当時お金に困っていた等の報道もありましたが、

それはデタラメです。

林家の金庫には現金で2億くらい入っていたそうです。(林健治さんが言っていました。)

1980年代は保険金の受け取りを親族以外にしても全く問題がなく、

園部地区ではそんな風にして、保険金詐欺を働き、保険金を受け取っていた人が他にもいたとユーチューブ動画で話していたのを聞いたことがあります。

その後、林眞須美死刑囚は他の保険金詐欺で再逮捕を繰り返し、勾留期間が延びていきました。

そして到頭、カレー事件の犯人になったのです。

保険金詐欺で再逮捕を繰り返し、勾留期間を延ばし、

警察は状況証拠を捏造していたのではないか、

あるいは、

林眞須美に有利に働く証拠の隠滅をはかったのではないか、

とどこかのユーチューブ動画でみました。

林家の台所シンクの下からヒ素入りタッパーが見つかったのは

捜査4日目でした。

家族の誰も見たことのない謎のタッパー。

それ以前にあんなに大人数で家宅捜索しているのに、どうしてシンクのタッパーがすぐ発見出来なかったのか不思議です。

わざわざどこからか持ってきたとしかいえません。

そのタッパーについていたヒ素と紙コップに付着していたヒ素、カレー鍋に入っていたヒ素、林家のガレージにあったヒ素が同一の物となり、犯人になったのです。

記者の文章

私は思ってました。

報道の記者さん達は優秀で、

みんなが読む新聞記事は何事もパーフェクトだと思っていました。

しかし、法律用語は間違えているし、

自分らに都合のよいように、脚色していたんだなとわかりました。

当時の記事で覚えていたことも結構ありました。

ひとつ、

これは本当にでっち上げがひどいと思ったことです。

逮捕後、林眞須美は腹痛を訴えたが、妊娠していた。

病院に堕胎に行った。

お腹の子は浮気相手との子である。

浮気相手は誰々と書いてあったと思います。

林眞須美はアパートを借りてあげてた知り合いがいたのです。

その人が浮気相手になっていました。

実際に行った病院に確認もせず、空想で物語をでっち上げたのです。

死刑判決が出た後の林眞須美はこういった報道機関をひとつひとつ訴えています。

最初の弁護人との対談 木村哲也弁護士

1998年8月13日、報道と人権について研究している同志社大学の浅野教授が

林家のポストに書類を入れました。

「松本サリン事件」の河野義行さんの著書や自身の著書をポストに入れました。

それで、林眞須美さんから連絡があったそうです。

当初はマスコミ報道の問題性ということで関わりを持ったそうです。

浅野教授が弁護士として紹介したのが木村弁護士でした。

加熱する報道陣は林家だけでなく、園部地区の全住民が被害者でした。

ここで驚いたのはマスコミはしきりに、

「園部地区はよその人間は入りにくい場所だ」と報道していたのが、

嘘だったことです。

あえて、そう報道することで、この事件の犯人は園部地区の住人だと私達に刷り込んでいたのだと思いました。

林夫妻はTVのインタヴューにも答えていたような記事もあり、実際にワイドショーでそのような場面がありました。

しかし、

林夫妻は撮られているという意識もなく、押しかけられたから、話していたというのが事実なのだろうということでした。

TVを観ている一般人からしてみれば、

こんなにペラペラいろいろ話してしまって、恥ずかしくないのかというようなイメージを持ちますが、

本人らは映像を撮られているという意識はないのかもしれませんね。

もしかしたら、現在もそうなのかも?

事件が起きると隣近所の人にマスコミの人が取材に行くじゃないですか。

現在、顔はぼかしてありますけど、あれってテレビで流れますとか許可を得ているのでしょうか。

疑問です。

林眞須美さんが逮捕された後、

弁護団は接見から戻るとマスコミから追い回されるようになりました。

マスコミからしてみれば、警察VS弁護団を書いた方が記事に説得力が出るのです。

それに辟易した弁護団は接見後マスコミの取材に答えるということをし始めました。

どうせ追いかけ回すのなら、先に答えてしまおうという考えもあったそうです。

報道の在り方を考えさせられる本でした。

お読みいただきありがとうございました。

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