和歌山カレー事件⑧ 暴走する検察 歪んだ正義と日本の劣化/弁護士安田好弘/やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか

カレーライス 生活・暮らし・家族

インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」のニュース討論番組

「マル激トーク・オン・ディマンド」の過去の番組内容を書き起こし、加筆修正し、書籍化したものです。

その中から第三章やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか

を読みました。

やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか

ジャーナリストの神保哲生・社会学者の宮台真司・弁護士の安田好弘の対談です。

疑問だらけの四つの検察の主張。

① ヒ素を入れられたのは林眞須美さんだけ。

② 見張りのときの動きが不自然。

③ 亜ヒ酸が合致

④ ヒ素を使って人を殺害しようとした前歴がある。

新たな展開を見せたのは

「X線分析の進歩」

京都大学の河合教授の論文がきっかけでした。

① ヒ素を入れられたのは林眞須美さんだけ。② 見張りのときの動きが不自然。

他に入れられる人がいなかったから、犯人は林眞須美さんしかありえないとうこじつけです。

見張りの時の動きが不自然と言われています。

道路を挟んだ住宅の二階から高校生が見ていました。

実際に犯行現場を見ようとすると、植え込みがあってよく見えませんでした。

その住宅の植え込み以外にも

ガレージにはアクリル製の透明の天蓋があって見づらいです。

しかも室内からだと、レースのカーテンや網戸もあります。

目撃者の証言は最初自宅の一階から見たということでしたが、

途中から二階で見たに大きく変わっています。

目撃証言としては無理があります。

この本にはありませんでしたが、

もう一人目撃者がいます。

彼は消えた目撃少年とも言われていて、

林眞須美さんから訴えられています。

彼の証言は裁判では採用されていません。

しかし、紙コップを林眞須美さんが持っていたということは採用されているのだろうか。

③ 亜ヒ酸が合致

ヒ素に含まれている不純物が一致しました。

ヒ素を製造する過程で原料の鉱石に含まれている不純物が混入するのですが、それが一致したそうです。

だから同じ工場で製造された同一のヒ素であるという鑑定が出ました。

世界最高性能の放射光を生み出すことができる加速器のスプリングエイトを使って分析しています。

いわゆる「中井鑑定」と言われています。

犯行現場に捨てられていた紙コップに付着していたヒ素、

林眞須美さんのお兄さんの家に保管されていたヒ素、

林眞須美さんが前に住んでいた家に放置されていたヒ素、

林眞須美さんの台所下から出てきたタッパーに付着していたヒ素、

が一致しました。

台所シンク下のタッパー容器は捜査4日目に出てきました。

和歌山はシロアリが良く出るので、ヒ素はよく使われていました。

一般の家庭でもトイレの殺虫剤に使用されていました。

甘味が増すので、ミカン農家でも使用されていました。

後に

和歌山県警の科捜研の技官の1人が他の事件で偽造したことが発覚、

彼はカレー事件では偽造していないということになっていますが、自殺しています。

科警研の鑑定では同じものと断定ができないということで

東京理科大学の中井教授がスプリングエイトで鑑定したものが証拠として提出されましたが、

京都大学の河合教授は

ヒ素の精度が悪くて同じかどうかさえ区別できないと再鑑定しています。

④ ヒ素を使って人を殺害しようとした前歴がある。

これはヒ素を盛られたとされる夫の健治が全否定しています。

ですが、妻の林眞須美を擁護するための虚偽の証言に違いないと一蹴されてしまいました。

夫の健治と林眞須美は保険金詐欺事件では共犯でした。

健治は自分で盛ったヒ素を飲んだ後、高度障害という死亡保険金と同じ額の保険金をもらっています。

少量で、耳かき1杯程度で何人も殺せる殺傷能力を持ったヒ素のことを熟知しています。

あの夏祭りのカレー鍋には約160~170グラムのヒ素が混入されていました。

林眞須美さんはヒ素を使って何かやらかしたら、

保険金詐欺のことがばれるのも普通わかります。

しかもカレー鍋は大2つ、小1つ・おでん鍋は2つありました。

ヒ素が混入されていたのは大カレー鍋のひとつでした。

まとめ

繰り返し繰り返し、

和歌山カレー事件に関する動画を観たり、

記事、書籍を読んでいると

これで死刑にされてしまうのかと恐ろしくなります。

推定無罪とかいう言葉は映画の中だけなのかもしれません。

この本では安田弁護士が重要なことをお話されていました。

現在検察庁に保管されている紙コップがあります。

これにヒ素を入れて、カレー鍋に入れたのではないかと言われています。

安田弁護士も実物をご覧になっていました。

ところが、

最初に証拠としてあがっていた紙コップは青色でした。

しかし、保管されているものは紙コップということでは同じですが、色が違います。

もっと決定的なのは、当時鑑定した紙コップの中には黒い汚れが付いていました。

写真を見ると円状の汚れは下方向に円が開いているのがわかります。

しかし、

現在保管されている紙コップには、同じような汚れが付いていますが、円は左上方向に開いていて、形が違います。

どこかで入れ替わっています。

安田弁護士は現在主任弁護士ではありません。

安田弁護士の再審請求や意見書には検察は応答していません。

今度新たに弁護人となった生田暉雄弁護士に期待したいと思います。

倒れて入院されたとどこかにありましたが、

和歌山カレー事件の真相究明はもう生田暉雄弁護士しかできません。

お読みいただきありがとうございました。

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